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令和7年度 教育行政執行方針

はじめに

 令和7年第1回北斗市議会定例会の開会に当たり、北斗市教育委員会における教育行政の執行方針について申し上げさせていただきます。

 国は、令和5年6月に閣議決定された「第4期教育振興基本計画」において、「持続可能な社会の創り手の育成」など、2つのコンセプトを掲げるとともに、「グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成」、「誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進」、「地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進」、「教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」などの5つの基本方針と、16の教育政策の目標を示したところです。

 北斗市では、人口減少問題を最重要課題と捉え、持続可能なまちづくりを進めるため、国が提唱する異次元の少子化対策との連携と分担を図り、男女の出会いの場の創出や、妊娠・出産から育児・子育てまでの切れ目のない支援と環境を整え、晩婚・晩産対策、少子化対策及び子育て支援に集中したあらゆる施策を推進し、また、雇用の場の創出にも取り組んでいるところです。

 教育委員会では、こうした国の動きや本市の方針を踏まえつつ、「北斗市教育大綱」に基づき、持続可能な社会の担い手として、将来の予測が困難な時代を生き抜く力を育む教育の推進に向け、ふるさとを愛し、そして世界へはばたく子どもたちの育成と、文化・芸術・スポーツに親しみ、誰もがいきがいを持てる教育の推進に努めてまいります。

学校教育の推進

1 社会で活躍する力を育む教育活動の推進

 はじめに、「北斗市教育大綱」の基本方針である、「社会で活躍する力を育む教育活動の推進」について申し上げます。

 子どもたちの「確かな学力を育む教育」を推進するため、新年度に更新となるGIGAスクール構想により整備したタブレット端末をより効果的に活用し、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な実現に向けた授業改善に取り組んでまいります。また、学力の向上については、本市独自の教員配置として、きめ細やかな指導を行うための少人数補助教員のほか、複式学級補助教員、学習支援員などを引き続き配置し、一人ひとりに適した学習指導を充実してまいります。

 全国学力・学習状況調査については、実施教科が限られた教科のみであり、教育活動の一側面に過ぎないことに留意する必要がありますが、その結果分析を踏まえ、それぞれの学校において、教科担任制などによる授業の質の向上を図るとともに、主体的・対話的で深い学びのため、授業改善プロジェクトなどによる組織的な学習指導の工夫・改善などを推進してまいります。

 予測困難なこれからの社会においては、社会全体で学校や子どもたちの成長を支えることが重要であり、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動を一体的に推進し、学校・家庭・地域が連携・協働して、自立的・継続的に子どもたちを取り巻く課題を解決できる地域社会の実現を目指す必要があります。

 子どもたちの「豊かな心と健やかな体を育む教育」を推進するため、学校・家庭・地域が連携し役割分担しながら、多様な学習、文化やスポーツ、体育活動の機会を設けるとともに、通常の教育課程に加えた教育環境を提供する「土曜授業」については、新年度から、地域の特性などを十分に考慮したうえで、それぞれの学校における選択制とすることとしています。

 道徳教育については、自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、道徳的な判断力、心情、実践意欲などを育むために必要であります。また、児童会・生徒会活動や学校行事などの特別活動や総合的な学習の時間の確保にも引き続き努めてまいります。

2 誰一人取り残さない教育環境の整備と充実の推進

 次に、「誰一人取り残さない教育環境の整備と充実の推進」について申し上げます。

 不登校児童生徒への対応については、それぞれの学校における不登校対策マニュアルに基づき対応し、徐々にではありますが減少傾向となっています。新年度においても、いじめ問題への対応を含め、子どもたちとのコミュニケーションをより一層図るための定期的な教育相談の実施、校内支援センターの設置と充実のほか、オンライン授業、教育支援センター、特認校制度活用などについて引き続き実施してまいります。

 インクルーシブ教育については、共生社会の形成に向けて、「障害者の権利に関する条約」に基づく教育システムの理念が重要であり、その構築のため、特別支援教育を着実に進めていく必要があります。新年度においても、教育相談や就学相談を適切に実施し、本人および保護者に十分な情報を提供するとともに、本人、保護者、学校、教育委員会等が、子ども一人ひとりの教育的ニーズを把握し、必要な支援について合意形成を図り、適正な指導、支援を実施してまいります。

 また、通常学級に在籍している障がいのある子どもたちが、大部分の授業を通常学級で受けながら一部の授業について、障がいに応じた特別な指導を受けることができる通級指導教室については、令和6年度から実施した「効果的かつ効率的な巡回指導の実施に向けたモデル構築事業」を新年度においても実施し、一人ひとりの教育的ニーズに応えるよう、生活面および学習面の指導、支援を行ってまいります。

 教職員の働き方改革の推進については、新年度から公務運営上の支障がないことを前提とする長期休業期間中の在宅勤務を可能とするほか、学校部活動の地域移行に関する議論について、関係機関等との協議を深め、本市に適した段階的な移行を進めてまいります。

 また、学校教育活動として行われる対外競技等に参加した場合の支援制度である「小中学校の対外競技等参加経費補助」と、社会教育活動の支援制度である「子ども対外競技等参加経費補助」については、各種大会等の多様化が急速に進んでいることなどから、二つの支援制度を統一し、定義等を見直すほか、対象範囲、助成額の拡充などを実施し、引き続き保護者への経済的負担の軽減に努めてまいります。

3 ふるさと「北斗」に誇りを持てる教育の推進

 次に、「ふるさと「北斗」に誇りを持てる教育の推進」について申し上げます。

 近年、少子化や核家族化などにより、家庭における教育力の低下、また、人間関係の希薄化やコミュニケーションの減少等により、地域の教育力低下も指摘されています。

 子どもたちが、本市の歴史や文化、自然環境などへの興味を高め、より一層の郷土愛を育むよう、小学校社会科副読本を活用した「ほくと学ジュニア検定」を引き続き実施するなど、新年度においても、郷土を素材とした体験的な活動を通して、課題を自ら見いだし、協働して探究活動に取り組む姿勢を育むふるさと教育を推進してまいります。

 少子化の進行に伴い、本市の児童生徒数は、10年前と比較すると1,000人を超える数が減少しているところであり、学校の統廃合については喫緊の課題であります。

 しかしながら、学校は地域のコミュニティの核であり、また、不登校児童生徒への対応の一端を担う小規模校の特性を生かした特認校制度を利用する子どもたちが少なくないこと、さらには、財政運営への影響、廃校校舎の利活用についてなどの諸課題を解決するためには、保護者の皆さまや地域の方々との共通理解が不可欠であることから、今後も、子ども目線を最優先とした協議を重ねてまいります。

 学校施設の整備については、子どもたちが心身ともに健やかに、安全で安心な学校生活が送れるよう、学校施設の長寿命化を図る老朽化対策を引き続き行ってまいります。

 新年度は、久根別小学校、大野小学校、浜分中学校の照明器具更新事業を実施するほか、猛暑による熱中症防止対策としては、令和6年度までに市内全15校のうち5校の空調設備設置を終えたところであり、残り10校の空調設備設置を早急に進めるとともに、長期休業期間の延長を引き続き実施するなど、ソフトとハードの両面から対応し、子どもたちが安全・安心に学べる環境づくりに努めてまいります。

 学校給食共同調理場については、新年度においても、安全で安心な給食を提供するとともに、地産地消の取組みのほか、子どもたちの食生活に関する正しい知識と望ましい食習慣の定着を図るため、栄養教諭と連携した食育指導を引き続き実施してまいります。

 また、昨年度には、食材等の物価高騰による影響が顕著であることから、質・量を維持し、おいしい学校給食を提供するよう、学校給食費の改定を実施したところですが、主食である米をはじめ、食材等の物価高騰による影響が引き続き顕著であることから、新年度においても学校給食費の改定を実施します。

 なお、保護者負担の軽減を図るため、昨年度と同様に、当分の間、市内の児童生徒については、従前の学校給食費の額を維持してまいります。

生涯学習の推進

1 地域の教育力向上と生涯学習の推進

 次に、「地域の教育力向上と生涯学習の推進」について申し上げます。

 地域社会のつながりや支え合いの希薄化、家庭の孤立化などの現代社会において、学校、家庭、地域社会が十分な教育的機能を発揮することで、子どもたちの豊かな人間性、社会性、規範意識、コミュニケーション能力が育成され、安全・安心な教育環境が形成されていきます。子どもから高齢者まで、市民が生涯にわたり明るく元気な生活を送るために、自由に学べる環境づくりと多様な学習機会の提供などをとおして、市民一人ひとりの学習意欲を高め、自発的な学習活動を促進することが重要です。

 生涯学習については、コミュニティ・スクール等による地域と学校の連携を図るとともに、学習の拠点施設の充実、学習情報の提供、学習機会の確保、学習意欲の醸成など、いつでも楽しく学べる生涯学習社会に向けた環境づくりに引き続き取り組んでまいります。

 高齢者大学については、教養の向上を図り、趣味活動や社会参画による生きがいを高めるため、また、地域とのつながりを高めるため引き続き開設してまいります。新年度においても、時代に即した幅広い学習機会を提供するとともに、新入学生の勧誘、オープンキャンパスの実施、健康づくり、世代間交流の充実などに努めてまいります。

 子どもたちは読書を通じて、言葉を学び、知識を得て、情報を的確に利活用できる能力を育むとともに、論理的な思考力や集中力など、これからを生きていくために必要な力を身につけることができます。大人にとりましても、読書をすることで、様々な角度から自己の人生や考え方を客観的に見直すことができ、年齢や経験に関係なく、人間性や人格の構築に良い影響を及ぼすものです。

 図書館については、地域の情報や学習活動の拠点であり、ホームページの充実、「読書の通帳」の活用など、より身近に感じることができるように努め利用促進を図るとともに、読書啓発活動、読書普及グループ等の育成など、新年度においても、利用者目線に立った図書館運営に努めてまいります。

2 市民が主体的にかかわる芸術・文化の振興とスポーツ活動の推進

 次に、「市民が主体的にかかわる芸術・文化の振興とスポーツ活動の推進」について申し上げます。

 文化芸術鑑賞機会の充実については、文化や芸術の楽しさを市民の皆さまに感じてもらい、創造性や感性を育み、幸せや豊かさのある地域社会を形成するため、優れた文化や芸術に触れる機会の提供をより一層充実させることが必要です。

 文化施設の整備については、市民の皆さまが安全で安心な施設として利用ができるよう、日常点検を再確認するとともに、総合文化センターの長寿命化計画を見直すなど、引き続き老朽化対策を実施してまいります。

 「音楽のまち・ほくと」を掲げたまちづくりについては、音楽祭をはじめ音楽体験などの様々な音楽関連事業を実施してまいりましたが、新年度においても、市民意識の醸成、および市民の皆さまが音楽をより身近なものとして感じていただけるよう、庁内横断的な取組みによる幅広い分野の音楽振興事業を引き続き推進してまいります。

 本市の歴史や文化などを後世に伝える文化財については、市民共有の貴重な財産として大切に保存し、次の世代に引き継いでいかなければならないことから、文化財保護思想の普及、保護団体の育成を推進するとともに、郷土資料館の活用のほか、常設展示、特別展示を開催し、郷土文化の情報提供を積極的に実施してまいります。

 生涯スポーツの推進については、市民の皆さまの体力向上と健康保持・増進のため、体育館や市民プールなどスポーツ施設の予防保全管理を適切に行うほか、ラジオ体操の普及、市民スポーツの集い、各種健康づくり教室の開催など、体育施設指定管理者との連携を図り、新年度においても、身近なスポーツ活動の推進に努めてまいります。

むすびに

 以上、新年度の教育行政執行にあたっての基本方針を述べさせていただきました。

 冒頭で申し上げました「第4期教育振興基本計画」では、将来の予測が困難な時代であること、少子高齢化の進行などを背景として、「持続可能な社会の創り手の育成」とともに、「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を基本コンセプトに掲げております。

 学校は、人とのつながりや目標の達成などから得られる自己肯定感を基盤として、主体性や創造力を育み、持続可能な創り手を育成する必要があります。

 ウェルビーイングが実現される社会は、子どもから大人まで一人ひとりが社会の担い手となって創り上げていくものであり、子どもたち一人ひとりが幸せや生きがいを感じられる学びを、保護者や地域の皆さまと共に作っていくことで、ウェルビーイングが高まり、その広がりが子どもや地域を支え、世代を超えて循環していくという在り方が求められています。

 教育委員会としましては、議員各位と市民の皆さまの、一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、子どもたちが健やかに育つこと、市民の皆さまが健康で幸せを感じていただけるよう、積極的な教育行政の充実に努めてまいります。

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