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令和7年度 市政執行方針

はじめに

 令和7年第1回北斗市議会定例会の開会に当たり、新年度の市政執行に臨む基本方針と施策の一端を申し上げます。

 新年度は、私が北斗市長として2期目の任期の締めくくりの年となります。この3年間は、新型コロナウイルスが蔓延した社会の克服と人口減少という、これまでに経験したことのない新たな課題に直面する中での市政運営となりましたが、2期目の公約については、議員各位ならびに市民の皆さまのご理解とご支援を賜り、ほぼ全ての施策について達成、若しくは実現の見通しが立ったところであり、この場をお借りし、関係されたすべての方々に深く感謝申し上げます。

 新年度は北斗市誕生から20年の節目を迎えます。自治体合併を経た、新たな都市として、旧両町の融和・融合と北斗市の発展を遂げるために、ご尽力賜りました多くの皆様に、改めて深甚なる敬意と感謝を申し上げます。

 私は、この節目の年を、北斗市がさらに持続可能な成長を遂げるための飛躍の年と位置付け、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの新たな視点を取り入れながら、少子化と人口減少問題を最重要課題として取り組むとともに、物価高騰対策、地域経済の活性化、デジタル社会への対応、脱炭素社会の実現などに向けて、近隣自治体や民間活力との連携を強化することで、多様な主体が参画し、すべての世代が安心して暮らせる都市づくりを進めてまいります。

 また、近年、各地で発生している自然災害を受け、防災対策の重要性が一層高まる中、本市においても地域防災力の向上を図るため、公共施設の適切な維持管理や避難所機能の充実、地域コミュニティとの連携強化などの施策を計画的に推進し、安全・安心なまちづくりを進めてまいります。

 こうした取り組みを進めるにあたり、私はSDGs(持続可能な開発目標)の理念と、まちづくりの最上位計画である「第2次北斗市総合計画」を踏まえ、社会・経済・環境の変化に柔軟に対応するとともに、市民と行政が一体となった「協働のまちづくり」を深めてまいります。

 さらには、「少子化対策と人口減少対策に取り組む新たな総合戦略」や「子育て支援のさらなる充実に向けた子ども計画」及び「持続可能な地域づくりを目指す地域共生社会の実現に向けた地域福祉計画」などの主要計画を着実に進め、未来へ向けて希望と活力に満ちた市政運営を実現してまいります。

市政の基本方針

 次に、市政の基本方針について申し上げます。新年度においても、本市が直面する多様な課題に対応し、市民の皆さまが安全・安心に暮らせる持続可能なまちづくりを進めるため、次の基本方針を定め、着実に施策を推進してまいります。

 第一に、少子化と人口減少問題への対応を最優先課題とし、少子化対策として効果を高める子育て支援の一層の充実を図ります。若年層の流出抑制に向けた雇用創出をはじめ、出会い・結婚・妊娠・出産・子育てといったライフステージに応じた支援策を充実させることで、人口減少の抑制に努め、将来にわたって活力あるまちの実現を目指します。

 第二に、地域経済の活性化を図るため、地場産業の振興と新たな産業の創出に注力します。近年急速に進化しているデジタル技術の活用による生産性向上や、観光資源の効果的な活用を進めるとともに、商工業者への支援策を充実させ、持続可能な商店街機能の形成と地域経済の発展を促進します。

 第三に、災害に強いまちづくりを推進し、防災・減災対策の強化に取り組みます。全国各地で発生する自然災害の教訓を踏まえ、地域防災力の向上や避難体制の整備を進め、安全・安心を確実にする地域社会の構築を目指します。

 第四に、SDGsの理念を取り入れたまちづくりを推進し、環境負荷の低減や脱炭素社会の実現に向けた施策を展開するほか、DXの推進による業務の効率化と市民サービスの向上を図り、未来を見据えた行財政運営の実現を目指します。

 これらの基本方針のもと、市民目線による「協働のまちづくり」の進化と、時代の変化を捉えた施策の選択と集中を進めることで、持続可能な未来に向けた挑戦を続け、北斗市に「住んでみたい、住んでよかった、住み続けたい」と感じられるまちづくりに努めてまいります。

主要施策の推進

 次に、ただいま申し上げました市政の基本方針に基づき、新年度に取り組む主要な施策についてご説明申し上げます。

1 人口減少問題への取組

 第1は、「人口減少問題への取組」についてであります。地方の人口減少は、若年層の流出による社会減と少子化による自然減が主な要因となっており、加えて、少子高齢化の急速な進行が、地域の経済やコミュニティの持続性に深刻な影響を及ぼしつつある状況は、本市においても例外ではなく、人口減少の抑制と地域社会の活力維持が喫緊の課題となっています。

 国が1月24日に公表した国内の年間出生数は、初めて70万人を下回る見込みとされており、こども家庭庁は「異次元の少子化対策」として「加速化プラン」を策定し、関係省庁と連携しながら具体的な施策を進めています。

 本市の令和6年の出生数は173人で、合併以降最大であった平成20年の440人と比較すると大幅な減少であり、深刻な事態となっています。このような状況に歯止めをかけるため、国による加速化プランを注視するとともに、本市の強みである「子育て支援策」をさらに充実させ、出会い・結婚・妊娠・出産・子育てといったライフステージに応じた施策間のバランスと連携を図り、相乗効果を発現できる少子化対策を構築し、取り組みを進めます。

 新年度では新規事業として、「出会いとつながり創出事業補助金」を創設し、官民連携の実行委員会を立ち上げた事業などを推進するほか、近隣自治体との連携による安心感のある出会いの場づくりを検討します。

 また、妊娠期から出産後の切れ目ない支援体制として、「妊婦等包括相談支援事業」による妊産婦支援と「1か月児健康診査事業」による乳幼児の健康管理を一体的に推進し、必要な支援が確実に届く環境を整備します。

 こうした支援に加え、家庭を持ち、子育て期の若い世代の経済的負担を軽減するため、新年度から保育園等の「第2子以降の保育料無償化」及び「第2子以降の給食費無償化」を所得制限なく実施し、より一層子育てしやすい環境を整えます。

 放課後児童クラブ運営事業については、保育人材の確保という課題を解決するため、新たな受託事業者による運営への移行を予定しています。新規事業者の提案を踏まえ、新年度に向けて地域間格差の解消や少子化の状況を考慮した開設場所などの見直しを含めた協議を重ねることで、持続可能な運営体制の構築と、安全・安心に子どもを預けられる利用環境の整備を進めます。

 また、首都圏などの大都市への人口流出を防ぐことは、一朝一夕に改善できるものではありませんが、令和6年度の補正予算で計上した「地方就職学生支援事業」を継続し、東京圏の大学生が北斗市内での就職活動を行う際の交通費を助成することで、地元企業への就職を促進し、若年層の定住を支援します。

 さらに市内高校の特性を活かした若年層の移住・定住対策として、「地域みらい留学事業」を実施し、首都圏から大野農業高等学校や函館水産高等学校への入学促進を図ることで、市外からの若者の流入を促し、地域社会の活性化を目指します。

 移住・定住を主な目的としていた空き家バンク制度は、中古住宅の資産価値の高まりを踏まえ、大幅な制度見直しを行い、都市生活環境づくりにおける実効性のある施策へと改めます。

 以上のような新たな事業を加えて、人口減少対策に取り組んでまいりますが、これまで「北斗市まち・ひと・しごと創生総合戦略」のもとで進めてきた施策の10年間の成果を検証し、新年度から5年間を計画期間とする新たな「第3期北斗市まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、「子育て支援のさらなる充実」と「企業立地などの雇用の場の確保」を重点的な柱に据え、目標達成に向けた具体的な視点として「地域共生社会の実現」、「DXの推進」、「国が進めるこどもまんなか社会の実現との連携」を設けて、持続可能な地域づくりを目指した施策を展開してまいります。

2 力強く成長する産業の形成

 第2は、「力強く成長する産業の形成」についてであります。本市における産業の持続的な成長と競争力の強化を図るため、農林水産業、商工業の発展を支援し、地域経済の活性化を推進してまいります。

 農業分野では、本市における成長産業としての持続性を高める支援を行います。「施設園芸用ハウス等導入事業補助金」は、スマート農業に対応可能な要件を設定し、既存施設の更新を補助対象に加えるとともに、補助率の所得区分を緩和するなどの改善を行います。また、「農業機械等導入支援事業補助金」の継続と合わせて、生産基盤の強化と農作業の効率化を進め、高所得化を図る経営基盤への移行を促進します。さらに、本市の基幹作物であるトマトの生産を強化するため、「トマト共同選別施設整備事業」では、新年度に実施設計を行い、令和9年の稼働を目指して、集出荷機能の集約化と市場ニーズに対応した付加価値の向上を図ることで、首都圏へのさらなる需要取り込みを見据えた販路拡大戦略を推進し、地域農産物のブランド力向上を図ります。

 ほ場基盤整備事業は、農業の持続可能な発展を支える重要な施策であり、生産性の向上や農業従事者の負担軽減を図れるほか、IT技術が活用可能な機械化に適した環境を整え、効率的な営農を可能にするとともに、本市の農業競争力を強化するため新年度においても継続します。

 こうした基盤整備の成果を最大限に活かし、より効果的な農地利用と農業経営の強化を図るため、令和6年度末に策定する従来の「人・農地プラン」を深化させた「地域計画」を踏まえ、担い手の確保と農地の集約化を促進します。

 また、これまで地元期成会による要望活動を行ってきた国営かんがい排水事業の「北斗用水地区」が新年度から事業化され、令和20年度の完成を目指し、上磯ダムと大野ダムの一体化による用水再編が進められます。事業完了後は、農業用水の安定した水源の確保と供給によって地域農業の持続可能な発展と効率的な水資源の活用ができるものであり関係機関と一体となった取り組みを進めます。

 林業分野では、安定財源である森林環境譲与税を活用し、北斗市森林整備計画や森林経営計画による計画的かつ継続的な事業展開を進めるなど、長期的な視点での森林整備を図ります。また、森林は、水源の涵養や土砂災害の防止といった保安機能を持つだけでなく、多様な動植物が共存する生態系の基盤として重要な役割を果たしているため、地域材を活かした木育活動の推進と匠の森研修センターなどを活用するとともに、子どもたちが森林の大切さや木材利用の意義を学ぶ機会を提供することで、次世代へとつながる森林資源の保全意識の醸成に努めます。

 水産業分野では、令和6年度までの3年間にわたり実施した「漁業経営活性化対策事業」によって、コロナ禍や赤潮の発生など、海洋環境の変化による影響を大きく受けた漁家経営の改善を支援し、漁業経営の意欲向上に貢献してきたものと考えています。この成果を踏まえ、新年度からは「漁業経営体質強化支援事業」を実施し、漁業用設備の導入支援を推進することで、漁業者の労働負担を軽減し、持続可能な漁業経営への転換を促すとともに、水揚げ量の確保や、地域全体の水産業の競争力強化につなげます。また、新年度に新たな事業者のもとで再開する水産物直売施設(北斗フィッシャリー)と連携し、新たな供給体制の確立と販路の確保を強化するとともに、漁業者の経営基盤の安定化に取り組みます。

 商工業分野では、北斗市商工会と引き続き連携し、地域の経済基盤を支える多様な産業の発展を促進するため、事業承継支援事業の活用により地域内の企業活動を活性化させるとともに、中小企業振興資金を通じた経営支援を強化し、新たなビジネス機会の創出を支援します。

 また、北斗追分インターチェンジ周辺地区の都市的土地利用を図るため進めてまいりました開発事業については、官民連携による協議を進め、企業進出の機会を逃すことのないよう、スピード感をもって取り組むため、事業主体となる一般社団法人北斗追分土地開発を令和6年度に立ち上げ、新年度から本格的な事業化に着手します。北斗追分IC産業団地整備事業においては、立地を希望する企業ニーズに応えるとともに、地域経済の活性化、雇用の場の創出を図っていきます。

3 次代を担う子どもへの応援

 第3は、「次代を担う子どもへの応援」についてであります。未来を担う子どもたちが健やかに成長し、誰もが幸せで輝くまちづくりを目指し、令和6年度に策定の、新年度から5年間を計画期間とする「第3期子ども・子育て支援事業計画」に基づき、市と教育委員会のほか関係者の連携・協力のもと、各種施策を一体的に推進してまいります。

 国においては、令和5年に施行された「こども基本法」に基づき、こども大綱やこども未来戦略が策定されており、これを踏まえた「こどもまんなか社会」の実現が進められています。この取り組みは、子どもや子育て中の方々が気兼ねなくさまざまな制度やサービスを利用できるよう、社会全体で支援することを目的に推進しているもので、本市においても、子どもの意見を尊重した政策の一環として、毎年度開催している子ども議会や青少年育成大会での「青少年の主張」をはじめ、地域全体で子どもを支える環境の整備として、子ども目線による運動公園のリニューアルを進めており、子どもたちが多くの遊具で楽しめる「よちよち広場」や「冒険広場」、自由に走り回れる「みんなの広場」など、より魅力的な遊び場を提供することとしています。また、夏休み期間中の小中学生への運動施設の無料開放など、子どもが社会の中心となる環境づくりを着実に進めており、今後もこどもまんなか社会の実現に向けた施策を積極的に推進します。

 次代を担う子どもたちが、安心して学び、成長できる環境を整えることは、こどもまんなか社会の実現に向けた重要な取り組みの一つであり、教育環境の向上にも力を入れてまいります。近年の夏季における猛暑を踏まえ、令和5年度から進めてきた小中学校の冷房設備設置が、新年度にすべての小中学校で完了する予定です。児童生徒の健康維持と学習環境の向上を図るとともに、子どもたちがより快適で安心・安全な環境で授業に集中できる体制を整え、教育環境のさらなる質の向上につなげます。

 また、学校給食については、物価高騰の影響を受けて食材費の値上がりが続いており、令和6年度に続き、給食費の値上げをしなければなりませんが、引き続き値上げ分を市が負担することで、給食費を据え置き、保護者の経済的負担の軽減に努めるとともに次代を担う子どもたちを支えます。

 これらの施策のほか、すべての子どもが健やかに成長し、自らの可能性を伸ばせる環境を整えるとともに、地域に根ざした教育や文化活動の充実によって郷土への愛着を育み、地域の歴史や伝統に触れる機会を増やすことでふるさとへの理解を深め、地域社会の発展に貢献できる次代を担う人材へと成長できるよう支援してまいります。

4 安心できる福祉・暮らしに身近な環境の向上

 第4は、「安心できる福祉・暮らしに身近な環境の向上」についてであります。すべての市民が安心して暮らせる環境を整えるため、地域福祉の充実、防災・防犯対策の強化、生活支援の拡充に取り組んでまいります。地域福祉計画の最上位計画である「北斗市地域福祉計画第3期計画」に基づき、住み慣れた地域で誰もが安心して暮らせることを目指し、高齢者や障がい者の福祉向上を図るため、これまでの質の高いサービス水準を維持しながら、より充実した支援体制の構築を進めてまいります。

 地域福祉の分野では、令和6年度から社会福祉協議会とともに準備を進めてきた「重層的支援体制整備事業」を推進し、既存の相談支援や地域づくり支援の取り組みを活かしつつ、子ども・障がい・高齢・生活困窮といった分野別の支援体制では対応しきれない、複雑化・複合化した支援ニーズに対応するため、多機関協働による包括的な支援体制を構築し、世代や属性を問わない相談支援や、社会参加への伴走支援などを一体的に実施します。

 保健医療分野では、新たに「アピアランスケア支援事業」を実施し、がん治療による外見の変化に対応した補整具等の購入支援を行うことで、がん治療を受ける方の心理的負担を軽減し、社会生活の継続を支援することで、誰もが自分らしく日常生活を送ることができる環境づくりを推進します。

 また、「新型コロナウイルスワクチン接種事業」や「帯状疱疹予防接種事業」などの予防接種事業を継続し、市民の健康維持に努めるとともに、特に高齢者や子ども、基礎疾患を有する方々など、感染症のリスクが高い層に対する接種機会の確保を重視し、予防医療の促進を図りながら、予防接種の周知を強化し、利便性向上に向けた体制整備を進めることで、誰もが安心して接種を受けられる環境を整えます。

 町内会活動の活性化に向けては、これまで実施してきた各種支援を継続しつつ、会員数の減少や役員の成り手不足といった課題に対応するため、SNSの活用や情報発信を強化し、町内会の魅力を向上させる取り組みを支援します。さらに、町内会を通じた防災士資格取得への支援を行い、自主防災組織の拡充を促進することで、共助意識の醸成を図り、地域全体の防災力を高めるとともに、支え合いの仕組みを強化し、誰もが安心して暮らせるまちづくりを推進します。

5 若者や女性、高年齢者がチャレンジできる環境づくり

 第5は、「若者や女性、高年齢者がチャレンジできる環境づくり」についてであります。本市においては、人口減少や少子高齢化が進む中で、すべての世代が活躍できる環境を整え、持続可能な地域社会を形成することが求められています。そのため、若者や女性、高年齢者がそれぞれのライフステージに応じた個性を発揮できる環境を整備し、地域全体の活性化を目指してまいります。

 市内企業の人材不足の解消に向けた取り組みとして、高校生を対象とした合同企業説明会の開催や、企業の求人情報掲載費用の助成、就職活動にかかる交通費の支援などの各種助成事業を引き続き実施し、企業と求職者のマッチングを強化します。函館公共職業安定所管内における有効求人倍率は、1.0未満で推移しているものの、職種によっては人手不足が深刻化しており、市内企業が「選ばれる企業」となるよう支援策を講じます。

 若者や女性、高年齢者の起業支援では、商店街の活性化を目指し、「商店街等元気づくり補助事業」を新年度も継続実施することとしております。本事業は、市内の空き店舗等を活用し、新たに事業を開始する事業者に対し、改修費用などを補助しておりますが、事業計画の見通しが十分に精査されていないケースも見受けられたことから、これまでも必要に応じ制度改正や認定基準の見直しを行っており、より事業継続の可能性や発展性が高まるよう取り組みを進めます。

 また、女性が安心して働き、活躍できる環境を整えるため、保育体制の強化と放課後児童クラブの充実を一体的に推進します。多様化する保育ニーズに対応するとともに、保育士の負担軽減を図るため、保育にかかる周辺業務を担う「保育支援者」の配置を支援し、専門性の高い業務に専念できる環境を整え、保育の質の向上を目指します。さらに、人口減少問題への取り組みでも申し述べました、放課後児童クラブについても、委託先の選定や地域間格差の解消、開設場所の見直しなどを進め、持続可能な運営体制を構築することで、子育て期における女性の就労環境の向上を図ります。

 中小企業向けの支援策としては、ひとり親などを継続雇用した場合に支給する「雇用促進支援事業」や出産や育児に伴う離職を防ぐことを目的とした「育児休業取得支援事業」を引き続き実施し、より一層、仕事と子育ての両立が可能な職場環境の支援を進めます。

 これらの施策を通じて、誰もが安心して家庭を築き、子どもを預けながらキャリアを維持できる環境を整えることで、すべての市民が年齢や性別に関わらず、意欲を持って挑戦し、活躍できる地域づくりを推進してまいります。

6 北海道新幹線効果拡大への取組 

 第6は、「北海道新幹線効果拡大への取組」についてであります。新年度は、北海道新幹線の開業10周年を迎える節目の年であり、これを契機として、地域経済の発展や観光需要のさらなる拡大に向けた新たな取り組みを展開する必要があります。しかし、2030年度の開業を目指していた北海道新幹線の札幌延伸は、トンネル工事の遅延から開業時期の見通しが立たない状況にあります。北海道新幹線は、札幌開業によって最大の効果を発揮するものであり、北海道新幹線建設促進道南期成会などの関係機関と連携しながら、地域の経済発展や観光振興に資する施策を強化し、早期開業に向けた働きかけを継続してまいります。

 北海道新幹線の利用状況は、コロナ禍により一時は低迷しましたが、令和6年度においては、開業当初の平成28年度を超える勢いで回復しつつあり、観光需要の回復に加え、ビジネス利用の増加も見られるものの、地域間交流のさらなる活性化が求められております。これまでの成果を振り返りつつ、新たな観光コンテンツの創出による観光誘客の促進、企業誘致などを通じた地域経済の活性化など、交通アクセスの利便性向上を通じて、地域全体の魅力を高めるための取り組みを強化します。

 新函館北斗駅前周辺地区への企業立地については、本年1月に首都圏のIT企業がサテライトオフィスを開設し、駅前周辺地区の持つ潜在的可能性に関心が高まっており、引き続き「新幹線新駅周辺地区企業立地補助金」を活用し、新たな企業進出を促進することで雇用創出を図り、地域経済の活性化を推進します。

 また、観光振興については、北斗市観光協会との連携を一層強化し、体験型観光事業の拡充を図るとともに、北斗市の持つ豊かな観光資源を効果的に発信し、地域への経済波及効果を高めていきます。特に、地域の歴史や文化、自然を生かしたプログラムを展開し、持続可能な観光モデルの確立を目指すとともに、観光消費の増加につながる施策を積極的に推進します。さらに、新函館北斗駅前での賑わい創出事業を引き続き実施し、駅周辺の魅力向上を図ることで、観光客の滞在時間の延長や地域経済の活性化につなげます。

 スポーツ合宿については、これまでの取り組みにより年間延べ宿泊数が5,000泊を達成し、交流人口の拡大と地域経済の活性化が進んでおります。本市の気候特性を活かして、通年での合宿誘致を促進することで、さらに多様な団体の受け入れを目指します。今後は、市民利用への影響に配慮しつつ、消費活動の大きな団体や市民交流を促進する団体の合宿数を増加させるため、支援制度の見直しを進め、地域経済への波及効果を最大限に高めます。

7 安心・安全な都市環境の整備

 第7は、「安心・安全な都市環境の整備」についてであります。市民が安心して暮らせるまちづくりを目指し、防災・減災の観点から、さまざまな施策を講じてまいります。災害の発生を完全に防ぐことは困難であることから、北斗市地域防災計画に基づき、被害の最小化と迅速な回復を図る「減災」の考え方を基本理念とし、自助・共助・公助の意識の醸成を図ることで、被災時の人的被害の防止及び経済的損失の軽減に努めてまいります。

 防災意識の醸成では、「防災総合訓練」を実施し、迅速な初動対応や避難行動の実践的な訓練を行うことで、防災意識の向上と地域全体での防災力の底上げを図り、地域住民や関係機関との連携を強化します。

 防災体制の確立では、海溝型巨大地震の被害想定を踏まえ、避難者数の増加に対応した備蓄計画への見直しを行うとともに、鉄路と旧久根別川に阻まれ避難に制約のある久根別地区において、河川への歩道橋整備に向けた実施設計を行い、令和8年度からの2か年での整備を予定しています。また、指定緊急避難場所である高規格道路高台への備蓄倉庫設置にかかる実施設計を行い、令和8年度の整備を予定するとともに、円滑な避難に向けた避難路の舗装化についても、令和11年度までの完成を目指します。

 消防・救急体制の充実については、令和6年度から準備を進めてきた茂辺地分遣所の建て替え工事を実施し、地域防災拠点としての機能強化を図るとともに、救助工作車の更新を行い、事故や災害時の迅速な対応を可能とする体制を強化します。

 市道整備については、交通の利便性向上と安全確保を目的に、計画的に道路改良工事を進めるとともに、老朽化した道路の改修や歩道の整備を実施し、地域住民の意見も反映したインフラ整備に取り組みます。特に、歩道が未整備で通学路として利用されている久根別停車場線については、令和9年度の完成を目指し、新年度は支障物件調査などを実施します。また、冬期間の安全な交通確保のため、当別地区の2路線においてロードヒーティングの改修を行い、滑りやすい路面の安全対策を強化します。さらに、津波などの災害発生時の避難路を確保できる一本木地区と久根別5丁目地区を橋りょうで接続する上磯田園通整備事業を推進し、令和11年度の完成を目指します。

 市営住宅については、久根別団地や稲穂団地の住環境の改善を図るため、建物の老朽化対策や設備の更新を計画的に実施し、入居者が快適に生活できる環境を整備します。

 上下水道事業については、水道事業では引き続き老朽水道管の計画的な更新や耐震化工事を実施し、安全で安定した水の供給を確保します。特に、下水道事業では老朽化が進む茂辺地浄化センターの大規模設備改修事業を実施し、処理機能の維持・向上に努めます。

 都市整備の観点では、市の持続可能な成長を見据え、「都市計画マスタープラン」、「立地適正化計画」、「緑の基本計画」の3つの計画策定を推進し、これにより長期的な都市計画のビジョンを明確にし、住宅や商業施設、公共施設の適正な配置を図ることで、人口減少時代に対応した効率的で快適な都市環境の形成を目指します。

 大規模改修事業として令和3年度から本格的に進めてきた運動公園施設改修事業は、新年度で完了を迎えます。最終年の整備内容としては、エントランス広場の造成や周回コースの整備を行い、子どもから高齢者までが気軽に訪れ楽しめる公園として、幅広い世代が利用できるエリアを創出し、市民の健康増進と憩いの場としての機能を一層充実させます。

 公共交通については、道南いさりび鉄道と北海道新幹線札幌延伸に伴う並行在来線の問題が大きな転換期を迎えます。道南いさりび鉄道については、沿線地域を結び、市民の暮らしを支える幹線交通であり、令和8年度から5年間を計画期間とする第2次経営計画により、持続可能な鉄道交通として課題の解決に向け、北海道や沿線市町と連携してまいります。

8 SDGsと都市生活環境づくり

 第8は、「SDGsと都市環境づくり」についてであります。本市では、持続可能な開発目標としたSDGsの理念に基づき、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指し、市民、企業、団体が一体となって環境・経済・社会の調和を図りながら取り組むことを推進しております。新年度では、市政20周年を一つの節目とし、本市の取り組みを広く発信することで、市民の誇りと郷土愛を醸成し、持続可能なまちづくりへの意識を高めてまいります。

 SDGsの推進においては、市民がSDGsを身近に感じられる環境を整備し、「広報ほくと」などを通じて、SDGsに取り組む企業や団体の活動を継続的に紹介し、地域社会における貢献度の向上と企業・団体の価値向上を促進します。こうした取り組みを通じて、市民の皆さまがSDGsの考え方をより深く理解し、日常生活の中で具体的な行動へとつなげる機会を提供します。

 環境対策については、ゼロカーボンシティ宣言を踏まえ、これまで実施してきた各種補助事業を継続するなどにより、地球温暖化対策の取り組みを推進します。また、持続可能な資源循環型社会の実現に向け、クリーンおしまの今後の施設のあり方について、渡島廃棄物処理広域連合の構成町との協議を進めるとともに、新プラスチック資源循環促進法の施行を踏まえた、プラスチックごみの分別及び再商品化に向けた体制の検討を進め、資源活用と環境負荷の低減に取り組みます。

 DXの推進については、行政サービスの向上を最優先にデジタル技術の活用を進めることで、市民の利便性を高めていきます。国のマイナンバー制度をはじめとするDXの動向を的確に把握しながら、庁内の横断的な連携を強化し、市独自のデジタル施策の検討を進め、業務の効率化と市民サービスの向上を図ります。基幹系業務システムの標準化においては、令和8年度の本格稼働に向けて、運用の安定性を確認しながら準備を進めます。

 公共施設に関しては、持続可能な施設運営を目指し、新年度から受益と負担の適正化の観点に基づき、使用料の一部を改定することとしております。また、老朽化した施設については、利用状況や施設規模を勘案し、計画的な更新、統廃合、長寿命化を図ることで、効率的な行財政運営を推進します。

むすびに

 以上、新年度の市政に臨む私の所信を述べさせていただきました。

 令和7年度は、私にとって市長としての任期最後の年度であり、2期目の集大成となる重要な一年となります。これまで、市民の皆様とともに築き上げてきた各種施策を確実に推進し、持続可能なまちづくりに向けて邁進してまいります。

 本市の発展をさらに加速させるためには、「事業の選択と集中」を徹底し、限られた財源を最大限に活かし、必要な事業に的確に資源を投入することで、市民の皆様にとって最も価値のある行政サービスを提供してまいります。さらに、人口減少が進行する中、人材不足への対応は喫緊の課題であり、公共施設総合管理計画に基づく財政負担の増大も避けられません。これらのリソースをどのように最適化し、持続可能なまちづくりを実現するかは、本市の未来を大きく左右する重要な課題であります。こうした課題に対し、効率的な行政運営を図りながら、市民サービスの質を維持・向上させる政策を展開し、市民の皆様が安心して暮らし続けられるまちづくりを推進してまいります。

 また、私は「自分が生まれ育ったまちをよりよくすることが市長としての責務」であるとの信念のもと、市民の皆様が安心して暮らし続けられる環境を整備し、未来を担う世代に誇れる北斗市を築くため、全力を尽くしてまいりました。新年度においても、この想いを胸に、さらなる市政の発展と住民福祉の向上に努めてまいります。

 今後も、市民の皆様と共に手を携え、「誰もが住みやすく、誰一人取り残さないまち北斗」の実現に向けて、一歩一歩着実に取り組んでまいりますので、引き続きのご理解とご協力をお願い申し上げます。

 むすびに際し、これまでの議員各位と市民の皆さまの市政に対するご理解とご支援に対し、心より感謝申し上げますとともに、一層のご支援とご協力をお願い申し上げ、新年度に向けた所信とさせていただきます。

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