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令和6年度 市政執行方針

はじめに

 令和6年度第1回北斗市議会定例会の開会にあたり、新年度の市政執行に臨む基本方針と施策の一端を申し上げさせていただきます。

 私が市政を担わせていただき2期目の折り返しを迎えるにあたり、この間の市政運営に対し、議員各位並びに市民の皆さまのご理解とご支援をはじめ、多くの皆さまに支えられていることに対しまして、あらためて心からお礼を申し上げます。
 新年度は、コロナ禍によるあらゆる活動の停滞期から脱却し、力強く未来のまちづくりに向かい再始動するという決意のもとに市政運営を進めてまいる所存であります。

 はじめに、元日に発生した令和6年能登半島地震により、多くの大切な命が奪われるとともに、ライフラインが壊滅的な状態に陥り、今なお多くの皆さまが避難を余儀なくされていることに対しまして、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 被災された皆さまが、一日も早く安心した日常生活が送られますよう、被災地の復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
 災害は、いつ、どこで、どのように起こるか誰にもわかりませんが、あらためて防災対策の重要性を強く感じたところです。

 さて、国内外の情勢をみると、地球規模の温暖化による異常気象や長引く円安の影響に加え、世界各地での戦争も未だ解決していない状況から物価高騰には歯止めがかかっておらず、あらゆるモノやサービスの価格が上昇し続け、地域経済や市民生活に大きな影響を与えています。
 このような現状は、建設工事費の増嵩や公共施設の管理運営費の負担増など、本市の行政運営にも深刻な影響を及ぼしつつあります。

 これらの課題に対応するため、行財政の見直しや公共施設の効率的な運営に努め、市の負担を最小限に抑えるとともに、必要なサービスは維持しながら、市民の皆さまが安心して暮らし続けられるよう全力を挙げて取り組んでまいります。

市政の基本方針

 はじめに、市政にあたります私の基本方針について申し上げます。

 市長就任時から申し上げておりますように、市民目線のまちづくりを基本に、これからもSDGsの理念に基づくまちづくりを積極的に進めてまいります。

 特に人口減少問題は、最重要課題として取り組まなければなりません。
 昨年4月の将来推計人口によりますと、我が国の人口減少は前回6年前の推計よりも早いペースで進み、2070年の総人口は現在の約7割にあたる約8700万人まで減少すると発表されました。
 このことから国では、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが、少子化・人口減少を反転させることができるかどうかの重要な分岐点であり、『日本のラストチャンス2030年に向けて』、少子化は我が国が直面する最大の危機であるとし、不退転の決意で取り組まなければならないとしています。

 私たちは、改めて深刻な事態に直面していることを認識し、人口減少の大きな要因である少子化への効果的な対策を実施しなければなりません。
 また、圏域との連携が効果的かつ可能な施策は、周辺自治体との連携を積極的に図りつつ実施することも必要であります。

 安全・安心なまちづくりは、地域の防犯対策や防災対策を基本に、超高齢社会に対応した医療や福祉の充実、さらには、時代の要請であるDX(デジタルトランスフォーメーション)、ゼロカーボン及び多様性への配慮など、時代に適応する成熟した地域社会の形成を目指さなければなりません。

 これらの施策を着実に進めるためには、限られた予算の中で、最大の効果を発揮する必要があり、施策の優先順位を明確にする「事業の選択と集中」を的確に推進することで、効果的かつ効率的な市政の運営を図ってまいります。

 北斗市が誕生し、19年目を迎えますが、これからも時代に即した、全国的にも高い水準の行政サービスが提供できるよう総力を挙げて取り組むとともに、北斗市に「住んでみたい」「住んでよかった」「住み続けたい」と実感できるまちづくりを進めることを、市政の基本方針とするものであります。

主要施策の推進

 次に、ただいま申し上げました市政の基本方針に基づき、新年度に取り組む主要な施策についてご説明申し上げます。

1 人口減少問題への取組み

 第1は、「人口減少問題への取組み」についてであります。

 人口減少は、地域の生活環境やコミュニティ機能に悪影響を及ぼすばかりではなく、生産性や経済力の低下から財政運営にも大きな支障をきたすものであり、持続可能なまちづくりを進めるには、国が提唱する異次元の少子化対策との連携と分担を図るとともに、男女の出会いの場の創出や、妊娠・出産から育児・子育てまでの切れ目のない支援と環境を整えるため、晩婚・晩産対策、少子化対策及び子育て支援に集中したあらゆる施策を推進し、また、雇用の場の創出にも取り組んでまいります。

 特に、人口減少への取組みの柱であります少子化対策・子育て支援は、これまで本市が全国に先駆けて実施してまいりました子育て支援の高いサービス水準を維持したうえで、国が策定しました「こども未来戦略」の「こども・子育て支援加速化プラン」を見据えた検討を重ね、環境が整った事業から順次実施してまいります。

 男女の出会いの場の創出も求められている少子化対策は、新年度の不妊治療費助成事業において、保険適用外の先進医療分への助成を拡充し、より一層の経済的負担の軽減を図り、安心して治療が行える環境を充実してまいります。
 また、国による加速化プランの目玉事業の一つである児童手当拡充分を速やかに実行できる予算を確保したほか、保育士不足の解消を図るため、保育士等の給料について、約5パーセント相当額のアップを可能とする関係予算を確保しております。
 さらには、新たに近隣自治体との連携により実施する保育士等就労奨励金事業や令和5年度の補正予算で実施の「統一制服購入費補助金」など、保育環境の向上と子育て世帯の経済的な負担のさらなる軽減を図ってまいります。
 なお、市役所組織改編において、妊娠から子育てまでの包括的な総合相談支援機能の拡充を図るため、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点の二つの機能を統合する「こども家庭センター」を新たに民生部子育て支援課に置き、新年度から相談支援業務を拡充してまいります。 

 移住・定住促進対策については、全庁的な連携を強化することで実効性をより高めるとともに、本市の各施策の充実度をはじめとする魅力度の向上と情報発信を粘り強く継続的に行う必要があるものと考えております。

 令和5年度から実施している高校生対象の「合同企業説明会」は、実施回数を増やし、対象範囲を広げ、雇用のミスマッチの解消と安定した雇用環境の創出により、地元企業に就職する機会を増やすことで定住につなげていきたいと考えております。
 このほかにも、移住者の受入れ体制の充実を図るため空き家バンク制度や奨学金償還支援事業などの既存事業について、点検・評価に基づく改善検討を含め引き続き実施し、人口流出を少しでも多く食い止めるとともに、交流人口の拡大など、本市への人の流れの創出を図ってまいります。

 シティプロモーションは、北斗市の魅力を広く内外に発信することで人口減少対策につなげることが出発点であります。
 これまでも移住や観光、企業誘致、ふるさと納税などにおいて北斗市が選ばれるためのプロモーションを一体的に実施してまいりましたが、その魅力や特色、優位性を知っていただくためには、継続的で腰を据えた粘り強い取組みが不可欠となります。
 新年度のシティプロモーション事業については、少子化・人口減少対策により効果的な事業への進化を目指すため、事業の再構築に取り組み、多様な手法を用いて北斗市の魅力度と認知度の向上を図ってまいります。

2 力強く成長する産業の形成

 第2は、「力強く成長する産業の形成」についてであります。

 持続可能で成長力のある産業の形成を図っていくことは、雇用の創出や地域経済の活性化につながることから、地域資源を最大限に活かし、一次産業と商工業が調和したバランスのとれた振興策を図ってまいります。

 農業については、農業者数が減少傾向にあることから、高齢化や労働力不足等の担い手対策のほか、農地の集約化に向けた取組みの加速化が当面の課題となっております。
 新年度では、スマート農業の普及促進をはじめ営農基盤の強化を図る事業を継続するとともに、地域農業の持続性を確かなものとするため、農地の集積と地域の中心的な経営体の確保に向けて、各地区での協議を主体とした「人・農地プラン」による、目指すべき将来の農地利用の姿を明確化する、新たな地域計画の策定に取り組んでまいります。
 また、新規就農者に対する各種支援を継続するほか、就農直後でも安定した生活を送ることができるよう、新たに「新規就農者生活安定化支援事業補助金」を創設し、農業者の確保に努めてまいります。

 トマト共同選別施設については、現在、施設の更新に向け、新函館農業協同組合や生産者、関係機関との協議事項の精査を行っているところであります。
 本市の基幹作物でありますトマトを安定的に出荷するため、共同選別施設は必要不可欠なものでありますので、今後も関係機関との連携を密にして協議を重ねてまいります。

 令和4年度から施設整備への支援を行ってきましたワイン関連施設の整備事業では、新年度から本格的なワインづくりに向け稼働し始めることとなります。観光・商業・農業の各分野への波及効果の発現など、本市のさらなる魅力を高められるよう「ワインを核とした地域活性化ビジョン2023」による取組みを進めてまいります。

 林業については、計画的に間伐や皆伐後の再造林などの施業を進めることで、森林が持つ治山・治水能力を高め、災害の防止と地球温暖化対策に資する事業を展開します。
 新年度では、より効果的な森林整備を行うため、整備面積を拡大するとともに、森林環境譲与税を活用し、計画的な森林整備を図ってまいります。
 また、幼少期から木や森林とふれあい、親しみを感じることで豊かな心を育てる木育活動の取組みに関する支援も継続してまいります。

 水産業については、海水温の上昇による海洋環境の変化に伴い、不漁が続く秋サケ漁をはじめ、魚種や漁獲量の変動に対応しながら高収益化を目指す取組みが重要であり、持続可能な漁業資源の確保を図るため、「育てる漁業」への支援を行うとともに、新たに茂辺地漁港に荷揚げ設備を新設するなど、作業の効率化や省力化に向けて支援してまいります。
 また、漁業においても漁業者の高齢化と担い手不足が課題であり、持続可能な漁業の確立のため、漁業者の親族が新規参入する場合も対象とするなど、現行制度の拡充を行い「漁業担い手支援事業」として新たに整備し、漁家の維持に努めてまいります。

 雇用対策については、地域経済の課題となっている人手不足の解消と、働き手と事業者のマッチングを強化することで、安定した労働力の確保を図るなど、令和5年度に拡充した雇用確保に向けた各種支援と雇用後の支援を実施してまいります。

 また、新たな企業立地と雇用創出の促進が期待される、北斗追分インターチェンジ周辺地域の開発計画は、陸路、海路、そして、空路による利便性などの優位な立地環境を最大限に活かし、商工業や物流産業などの立地環境を整えることで、発展的な都市的土地利用の実現を目指してまいります。

 商工業については、北斗市商工会との連携を一層強化し、新たに任用する地域おこし協力隊を商工会事務所に常駐させ、市内事業者に対する新商品開発のサポートやふるさと納税返礼品の発掘・開発支援のほか、農水産物の販売促進や本市のプロモーション活動などを通じて地域経済の活性化を図ります。
 また、個人事業主と中小企業における経営者の高齢化や後継者問題を解決するため、新たに「事業承継支援事業補助金」を創設し、事業承継に取り組む事業者をバックアップし、持続可能な商工業の育成に取り組んでまいります。

3 次代を担う子どもへの応援

  第3は、「次代を担う子どもへの応援」についてであります。

 北斗の子どもたちは、昨年もスポーツ、文化、芸術活動など、様々な分野において大活躍をされ、多くの市民の皆さまに感動と元気を与えてくれました。
 次代を担う子どもたちは、北斗市にとって宝であり、希望であり、学校や家庭、地域が三位一体となって連携した教育を推進できる環境の整備に努めることが必要でありますので「北斗市教育大綱」に基づき、教育委員会と連携し、子どもたちの力を引き出す教育環境づくりをしっかりと進めてまいります。

 新年度の教育行政執行方針は、この後、教育長から申し上げますが、私に与えられた責務をしっかりと果たすべく、教育環境対策を一層充実させてまいります。

 昨年の夏は、これまでに経験したことがない記録的な猛暑が続き、北斗市でも観測史上最高の気温となる34.5℃を記録しました。
 本市では、児童生徒の健康を守り、安全で安心な教育環境を整えるため、令和5年度から小中学校5校分の冷房設備の設置に関する準備を進めており、国の補正予算を活用し、夏までに設置が完了するよう、令和5年度で設置工事に関する繰越明許費による予算措置を行い実施するほか、新年度におきましては、残り10校分の実施設計を進め、順次工事に着手することとしております。

 また、著しい物価高騰の影響を受けている学校給食は、新年度から給食費の引き上げを行いますが、当分の間、食材費の上昇分を市が負担することで給食費を据え置き、保護者負担の軽減を図りながら、質や量を落とすことなく、引き続き安全・安心なバランスのとれた栄養価の高い給食を提供してまいります。
 なお、国は、2030年までに少子化トレンドを反転させる基本的な考え方の一つとして、子どもや子育て世帯の目線に立ち、子どものための地域の生活空間を形成する「こどもまんなか社会」を加速化し、必要な施策の拡充を図っていく必要があるとしており、この3月には「こどもの居場所づくりに関する指針」が決定されますので、本市としても民生部と教育委員会との連携をより一層強めながら取り組んでまいります。

 現在、市では令和7年度からの「第3期子ども・子育て支援事業計画」の策定に向けて、子どもや子育て世帯へのアンケート調査を実施しているところでありますので、国が示す「こども大綱」も踏まえて、計画策定に取り組むとともに「こどもまんなか社会」を目指し、地域の皆さまとともに次代を担う子どもへの応援の輪を広げてまいります。

4 安心できる福祉・暮らしに身近な環境の向上

 第4は、「安心できる福祉・暮らしに身近な環境の向上」についてであります。

 北斗市における地域福祉の最上位計画である「第3期北斗市地域福祉計画」は、すべての市民が住み慣れた地域で安心して生活を送ることを目指すものでありますので、地域社会全体が協力して様々な取組みを行う地域共生社会の実現に向けて関係する施策を積極的に展開してまいります。

 核家族化から人口減少時代に突入した今日の社会では、公共分野に求める住民ニーズが多様化している反面、福祉分野に携わる人材不足が顕在化しており、地域福祉の基盤となる人材の確保は喫緊の課題であることから、「保育士等就労奨励金」を拡充するほか、新たに「介護人材就労奨励金」と「障がい福祉人材就労奨励金」を創設し、持続可能な地域福祉の実現に努めてまいります。

 また、地域共生社会の実現に向けて、社会福祉協議会と連携し、地域住民が抱える複雑化・多様化した支援ニーズに対応するための包括的な「重層的支援体制」の本格化を目指し、新年度は、各分野の相談支援機関等と連携体制構築のため、準備を進めてまいります。

 新年度は、令和5年度に策定した、「第7期北斗市障がい者福祉計画・第3期北斗市障がい児福祉計画」及び「第9期北斗市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」に基づく各種事業を積極的に取り組んでまいりますが、第9期介護保険事業計画における介護保険料の基準月額は、前期計画と同額とし、据え置いております。
 なお、新年度は、「第2期子ども・子育て支援事業計画」の計画期間の最終年度となりますので、国の少子化対策等を踏まえ、次期計画の策定に着手してまいります。

 健康づくりについては、自主的な予防が基本ではありますが、行政が支援を強化することでより確かな予防につながるものと考えられることから、各種健康診査や予防接種に対する費用の助成を行い、特定健康診査の受診率向上策などを実施するとともに、新型コロナウイルスワクチンの全額公費による接種が本年3月で終了することから、新年度では、原則65歳以上の市民を対象としたワクチン個別接種費用の一部を助成する事業を実施し、感染拡大防止や費用の負担軽減を図ってまいります。
 さらに、帯状疱疹の発症や重症化を予防するため、50歳以上の市民を対象として予防接種の一部を助成する事業を新たに実施し、疾病予防の充実に努めてまいります。

 近年、加入者が減少傾向にある町内会は、地域コミュニティや防災・防犯活動、災害時の助け合いなど重要な役割を果たしていることから、加入者の獲得に向けた取組みを工夫するほか、引き続き、街灯の新設、電気料の助成及び幅広い活動支援を行うことで持続可能な町内会活動を維持できるようサポートしてまいります。
 また、昨年の厳しい暑さを受け、集会や情報交換などのコミュニティ振興の中心となる要望があった5つの町内会館に、冷房設備の設置に対する助成を行ってまいります。

5 若者や女性、高年齢者がチャレンジできる環境づくり

 第5は、「若者や女性、高年齢者がチャレンジできる環境づくり」についてであります。

 人口減少が顕在化する中、若者や女性、高年齢者の多様な挑戦に対する機会の提供は、新たな可能性と地域活性化のほか、個々の生き方に対する価値観を高めることが期待できるため、既成概念にとらわれない重点的な支援の実施が必要であると考えております。

 「商店街等元気づくり事業補助金」につきましては、今後、国から示される新たな財政支援メニューを見極めつつ、事業の趣旨に合致した適正な運用を図るうえで必要な見直しを行い、事業を実施するとともに、函館地域産業振興財団との連携による「創業バックアップ助成事業」により、積極的な起業化の支援を行ってまいります。

新年度におきましては、北海道立工業技術センターの利用促進による「新商品開発等支援事業」を新たに実施し、新技術の活用を通じた商品開発や農水産物の高付加価値化など、チャレンジできる環境づくりを進めてまいります。

 誰もが自分の可能性を最大限に発揮できる社会の構築に向けて、若者や女性の意識や実態を把握することは、SDGsの理念に基づくまちづくりにおいて重要であると考えており、私が主宰するタウンミーティングなどを通じて施策に反映させる仕組みを整備してまいります。

 また、女性が出産後も働き続けられる社会の実現には、家庭と仕事の両立を支援することが不可欠であることから、事業所に対する「男性の育児休業取得率向上のための啓発」や「育児休業取得支援事業」などの活用を促進し、男女ともに育児休業の取得が広がる社会となるよう取組みを進めてまいります。
 さらに、保育園や幼稚園などに対する施設運営の支援を引き続き実施するほか、猛暑に備えて冷房設備を完備した放課後児童クラブとするなど、育児中でも安心して社会に貢献できる環境づくりを行ってまいります。

6 北海道新幹線効果拡大への取組み 

 第6は、「北海道新幹線効果拡大への取組み」についてであります。

 北海道新幹線が開業し、まもなく9年目を迎えようとしております。
 市では、北海道新幹線の効果を最大限に活かすため、新函館北斗駅前周辺を整備し、企業誘致の基盤となる立地環境を整えてきたほか、駅と併設する形で観光交流センターを建設し、魅力ある店舗の形成など、観光振興の拠点として新駅周辺の賑わいづくりに取り組み、広く内外に本市の魅力をアピールしてきたところです。
 今後も北海道新幹線の効果を広く波及させるため、交通アクセスの優位性に加えて、新幹線利用者のニーズに応じた都市機能の充実や北海道らしい豊かで美しい自然環境の活用が重要であると考えており、これらの取組みと合わせて、札幌延伸を見据えた新たな事業展開を図っていかなければなりません。

 新函館北斗駅周辺地区への企業立地については、交通アクセスに優れた立地環境をはじめ本市の強みをアピールするとともに、現在利用されていない民有地の街区を取得し、進出を検討する事業者とワンストップで交渉に臨める環境を整え、積極的な企業誘致活動に取り組んでまいります。

 特に、コロナ禍を経て、地方進出の動向が見られてきているIT事業者との連携は、DX進展への助言にとどまらず、本市の立地環境や高等教育機関が輩出するデジタル人材などの優位性をアピールすることで、幅広い相乗効果が期待できることなどから、首都圏のIT企業と包括連携協定を締結し、地域社会におけるDX推進をはじめ、官民連携によるまちづくりにスピード感をもって取り組んでまいります。

 観光振興については、これまでの取組みを検証し、令和5年度に改定する新たな「北斗市観光振興プランⅢ」に基づき、農水産物やワインなどの「食」を活用した体験型観光商品の開発のほか、函館空港の国際線就航によるインバウンドや大型クルーズ船で訪れる観光客の本市への誘客にむけ、北斗市観光協会や関連事業者との連携を一層強化し、観光消費の増加につなげる取組みを推進してまいります。

 スポーツ合宿の誘致事業は、充実した施設環境と誘致補助などにより、所期の目標は概ね達成したことから、今後は、市民がスポーツ合宿の恩恵を実感できる取組みが重要と考えており、トップチームによるスポーツ教室の開催や市民との交流による新たな合宿モデルの検討など、補助制度の抜本的な見直しも含めた効果的な事業展開が可能となるよう努めてまいります。

7 安心・安全な都市環境の整備

 第7は、「安心・安全な都市環境の整備」についてであります。

 冒頭に申し上げましたとおり、災害は、いつ、どこで、どのように起こるか誰にもわかりません。
 災害の発生を完全に防ぐことは不可能ですので、災害時の被害を最小化する「減災」の考え方を防災の基本理念とし、市民の皆さまには、防災力を向上させるため、自分の命は自分で守る「自助」の意識と、大切な家族や地域の人たちの命も守るといった「共助」の意識を日ごろから育むことが重要であると考えており、そのうえで、市と防災関係機関が連携し、市民の生命、身体及び財産を災害から守るという観点の「公助」が成り立つということを改めて認識いただくとともに、災害の発生を「自分事」として捉えることが最大の防災対策であると考えております。

 防災・災害対策については、物資や資材の備蓄を計画的に行うとともに、令和5年度に運用を開始した防災ラジオの普及促進を図るほか、市民と防災関係機関が合同で行う、防災総合訓練を実施し、日ごろからの防災意識や災害時の対応力の向上などを図り、災害への備えを行ってまいります。

 消防・救急体制については、新年度から消防体制を一部刷新し、新たに北斗消防署に副署長を配置することで、災害時における各防災関係機関の一層の連携を深められるよう連絡調整を担ってまいります。
 さらに新年度では、老朽化した茂辺地分遣所の移転建替えに関する準備や高規格救急車を更新し、一人でも多くの命が救えるよう取組みを進めます。

 道路や公園、上下水道などのインフラは、将来需要の見通しや長寿命化対策を意識した整備、機能確保に努めてまいります。
 市道整備については、子供たちの通学路としても利用され、地域の住民にも生活道路として日常的に利用されております久根別停車場線や新設の新函館北斗駅北口道路などの12路線、橋りょう整備については、上戸切地橋などの3橋、さらには、災害時には避難路としての役割も果たす上磯田園通線の整備を引き続き進めてまいります。

 公園については、令和7年度までの総合運動公園整備を引き続き進めるほか、一時的な避難場所としても活用可能な都市公園を始めとした各種公園の維持補修を行ってまいります。

 市営住宅については、令和5年度の繰越明許費予算で富川団地や久根別団地の住環境の改善を図るほか、上下水道については、老朽水道管の計画的な更新を実施し、開発・萩野地区では下水道管整備を進めてまいります。

 地域の公共交通は、通勤や通学、通院などの欠かせない移動手段であることはもちろんのこと、超高齢社会における生活インフラとしての重要性が増しております。
 しかし、少子化と人口減少社会にあっては、鉄道やバスの利用者数は厳しく推移しており、将来に向けて持続可能な姿を示していくことが、大きな課題となっております。
 当面は、「通学定期券の購入費用に対する助成」制度を継続するほか、巡回ワゴンに対する市民ニーズを捉え、令和5年度から導入したフリー乗降制度や石別地区における予約運行などを継続し、地域公共交通活性化協議会との協議も踏まえ、改善を図りながら最適な地域公共交通ネットワークを構築してまいります。

8 SDGsと都市生活環境づくり

 第8は、「SDGsと都市生活環境づくり」についてであります。

 人口減少が進む中、行政がSDGsを率先して推進することは、地域の持続可能性の向上や活性化に大きく寄与するものであり、また、地方創生をはじめとする私どもの事務事業の目指す先にあるものとSDGsは一致することから、私の政治理念として掲げてきたところであり、これらを正しく理解し、実践することで、誰一人取り残さない包摂的な社会の実現へつながるものと確信しております。

 SDGsの理解を深める取組みといたしましては、昨年3月に地球温暖化対策を目指した「ゼロカーボンシティ宣言」や性的マイノリティの課題軽減を目指した「性の多様性を尊重するまち宣言」を行ったほか、令和5年度では、「北斗市SDGs宣言推進事業」を実施したところで、このほか市内の小学校では、食育や手話言語の普及に取り組んでおり、多くの市民の皆さまにSDGsに対する理解を深めていただくきっかけと、包摂的な社会の実現に向けた取組みを進めています。

 環境対策では、「太陽光発電設備設置補助事業」を実施するほか、新年度では、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯分野について、高効率給湯器の導入支援として「省エネルギー設備設置補助金」を創設し、新たな環境対策を図ってまいります。

 DXの推進については、市民の利便性の向上や庁内業務の効率化のほか、地域社会のデジタル化に向けた取組みを加速させるため、引き続き「DX推進プロジェクトチーム」による庁内横断的な体制により効果的なデジタルの実装に向けて検討を進めてまいります。
 令和5年度に開始しましたマイナンバーカードを活用しての住民票や印鑑証明書のコンビニ交付のほか、新年度では、紙データをスキャナーで取り込み、テキストデータ化する「AI-OCR」を庁内業務に導入し、これまで手作業で行っていたシステムへの入力や内容の確認・修正作業などを一部自動化し、業務の効率化を図ってまいります。

 公共施設につきましては、利用度や老朽化度合いなどから計画的な更新や統廃合、長寿命化等の検討のほか、今後の財政負担の軽減や平準化などから、最適な公共施設の配置を検討し、効率的な行財政運営に努めてまいります。

むすびに

 以上、新年度の市政に臨む私の所信を述べさせていただきました。

 2期目の折り返しとなる令和6年度を迎えるに際し、新型コロナウイルス感染症の蔓延という現代社会が経験したことのない事態を市民の皆さまの力で乗り越えることができましたことに、あらためまして感謝と敬意を申し上げます。
 新年度からは、コロナ禍で進捗することができなかった事務事業や人口減少問題をはじめとした様々な課題にこれまで以上に、果敢に、そして、積極的に取り組んでいかなくてはなりません。

 これまでも一貫して申し上げておりますとおり、私のまちづくりにおける基本姿勢は二つであります。

 第一に、市民の視点を重視し、市民自身が主体となれるよう「市民による市民のためのまちづくり」を進めること。
 第二に、「誰一人取り残さない包摂的な社会の実現」を目指すSDGsの理念に基づくまちづくりを進めること。
 私は、これらの基本姿勢のもと、公約で掲げた8つの政策目標を確実に達成することが、「住んでみたい」、「住んで良かった」、「住み続けたい」といった、魅力あるまちづくりへの実現に資するものだと考えています。

 急速に進行する人口減少やデジタル情報社会の進展によって財政需要はますます高まり、事務事業の効果検証が急務となっているところです。

 「事業の選択と集中」の取組みの一つでもある、若手職員でつくる庁内行革プロジェクトチーム「北斗リノベーションプロジェクト」は、異なる部門や職種のメンバーがそれぞれの得意分野や専門知識を活かし、情報やアイデアを共有することで、若手職員が持つ柔軟な発想を行財政改革に活かそうとするもので、持続可能なまちづくりを行っていくうえで、このような若手職員の意見は欠かすことのできないものです。
 今後も若手職員の可能性を最大限に引き出し、市役所全体の組織力を高め、効果的な行財政改革を実現してまいります。

 また、急激な人口減少は、労働力や消費者の減少を招くと同時に、税収なども大幅に落ち込み、市民を支えるインフラや社会サービスの維持コストが増大し、やがては「地方消滅」というべき事態が加速度的に進むことが全国的に懸念されています。
 このような危機的状況を念頭に置き、将来にわたり住み続けられるまちづくりを実践するためには、持続可能で包摂的な社会の実現を目指すSDGsの理念に基づいた市民一人一人の意識の結集と事業の見直しに着目した「事業の選択と集中」は、必要不可欠であると言わざるをえません。

 私は、我が故郷がいつまでも輝き続けられるよう、誠心誠意をもって全力を挙げて取り組む決意でございます。

 むすびに際し、これまでの議員各位と市民の皆さまの市政に対するご理解とご支援に対し、心より感謝申し上げますとともに、一層のご支援とご協力をお願い申し上げ、新年度に向けた所信とさせていただきます。

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