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令和5年度 教育行政執行方針

はじめに

 令和5年第1回北斗市議会定例会の開会に当たり、新年度の教育委員会所管に関する執行方針について申し上げ、議員各位並びに市民の皆さまのご理解とご協力をお願いする次第であります。

 新型コロナウイルス感染症は、変異を繰り返しながら3年以上猛威を振るっておりますが、ワクチン接種が進み、またウイルスの変異により重症化リスクが低減してきていることから、さまざまな行事や日常生活において制限が緩和されてきております。

 世界情勢ではロシアによるウクライナへの軍事侵攻が行われ、長期化していることから、ウクライナ国内においては、多くの人たちが犠牲になるとともに国外退去を余儀なくされており、また、世界的にも原油高や物価高騰の要因になるなどその影響は大きく、一日も早い終結を願うものであります。

 教育分野におきましては、新型コロナウイルス感染症対策を講じた中で、各種行事がほとんど実施できており、学校における臨時休校時や欠席児童生徒に対してのオンライン授業が浸透してまいりました。

 また、昨年4月より成人年齢が18歳に引き下げられたことから、従来の成人式を改め、対象年齢を20歳とする「二十歳を祝う会」として実施いたしました。

 北斗市の教育の基本的な考え方につきましては、従来同様SDGsの「誰一人取り残さない」という理念を基本とし、子どもたちがこれからの社会で活躍できるよう人材育成に努めてまいります。

学校教育の推進

1 社会で活躍する力を育む教育活動の推進

 これからの社会は、新学習指導要領にも示されているように、生きて働く知識・技能の習得と国際化やボーダレス化が進む中、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力などが求められております。

 これらの力をつけるためには、家庭における理解や協力が必要でありますが、学校現場においても今まで以上に新しいことへの挑戦や体験活動、コミュニケーションが重要であり、従来の教育の考え方を見つめ直す必要があるのではないかと考えております。

 また、GIGAスクール構想により一人一台のタブレット端末が整備され、授業内での活用はもちろん臨時休校時や不登校児童生徒へのオンライン授業、学校間での交流学習にも幅広く活用がされている状況であります。

 反面、子どもたちの健康状況やコミュニケーション不足、SNS上における情報の信ぴょう性や取り扱い上のモラルについて注意指導をしていかなければなりません。

 教科横断的な授業は新学習指導要領の中でも重要なものと位置づけられておりますが、学校は今まで以上に意識して行う必要があります。これは、子どもたちが学ぶことを通じて、さまざまな分野において関係性を知ることや違う側面から見ることにより、疑問に思うことがこれからの社会で生きていくうえで重要なことと考えているからです。

 道徳教育におきましては、自らの生命の尊さを知ることや自己肯定感を高めること、人を思いやる気持ちを育てていくことが大切であり、道徳の授業だけでなく前述した教科を横断して取り組むことも大事であると考えます。

 また、道徳観念は幼少期や低学年において家庭環境や保護者の考え方に大きく影響を受けることから、家庭への情報提供や協力をお願いしていかなければならないと思います。

2 誰一人取り残さない教育の推進

 これからの社会において求められるものは、知識より創造性やコミュニケーション能力であると思いますが、これらは必要最低限の知識の上に成り立つものであり、認知能力と非認知能力を共に伸ばしていくことが必要であります。

 しかし、子どもたちは一人ひとりがそれぞれの個性や能力に違いがあり、それを見極めながら学力至上主義にならないよう、その個性や能力を伸ばしていくことが大事なことと考えております。

 ここ数年において、不登校の児童生徒が全国的に増加しており、北斗市においても歯止めがかかっていない状況にあります。

 不登校になってからの対応ではなく、不登校になる前に、家庭、学校は子どもたちが何に不安を持っているのかをいち早く察知することが重要となります。そのためには、家庭、学校において、今まで以上に子どもたちとのコミュニケーションがとれる体制を確立していく必要があり、家庭と学校の連携を密にしていかなければならないと考えております。このようなことをしっかり行うことにより、不登校対策やいじめの早期発見にもつながるものと考えております。

 不登校児童生徒の学びの場である適応指導教室は昨年より指導員の体制を強化し、出前で対応しているケースもあり、 今後の状況を見ながら体制整備を強化していくことも考えていかなければなりません。

 教職員の働き方改革につきましては、新年度より変形労働時間制を導入することとし、この制度を有効に活用することでさらなる在校時間の短縮につなげていきたいと考えております。

 また、学校部活動から地域部活動への移行が進められておりますが、新年度には道における指針が示されることから、北斗市におきましても検討を進めてまいりたいと考えております。

 先生方の在校時間数は学校の努力もあり減少傾向にありますが、個人個人による格差がまだまだあり、「チーム学校」として仕事の分担や教科担任制の拡大を進めていただくとともに、「オール北斗」としてクラウドの活用による業務効率の向上などを今まで以上に進めていくことが必要であると思います。

3 教育環境の整備の推進

 社会の急速な変容により、それぞれの価値観や考え方が多様な時代となっております。

 今、校則や制服の時代にあったものへの見直しが必要な時期となってきており、現在制服について検討を進めているところでありますが、あわせて校則の見直しについても早急に行わなければならないと考えております。

 人口減少時代を迎え、市内学校において児童生徒数が年々減少しており、今後の学校のあり方について、地域との話し合いを進めていくことが必要であると考えております。

 また、北斗市の津波浸水想定区域の拡大により、対象区域内の学校においては、詳細な避難確保計画を策定いたします。

 さらに防災教育におきましては、自助、共助を中心とした防災意識の向上、救命方法、地域と共同で行う避難訓練等を総合的に行う一日防災教室を積極的に実施し、児童生徒、教職員の防災意識のさらなる向上に努めてまいります。

 学校施設につきましては、今年度で久根別小学校の大規模改修が終わりましたが、新年度からは国庫補助制度の改正を踏まえた新たな大規模改修計画の策定に取り組んでいかなければならないと考えております。

 また、小中学校トイレの洋式化を計画的に行い、利便性の向上に努めるほか、浜分小学校体育館の屋根改修工事を実施してまいります。

 学校給食共同調理場につきましては、設備の老朽化により順次更新を進めているところでありますが、新年度においては第2学校給食共同調理場における食器類洗浄機等の更新を実施してまいります。

 また、物価高騰等による影響は学校給食においても現れておりますが、現在の社会・経済情勢を踏まえ、当面は保護者の負担が増えないよう対応してまいります。

社会教育の推進

1 地域の教育力向上と生涯学習

 人生100年時代といわれる昨今、社会教育における生涯学習は市民の皆さまにとって生きがいを持って充実した人生を過ごすために今まで以上に重要なことであります。

 この人生100年時代を迎えるにあたり、今までの教育、仕事、現役引退というプロセスからボランティア、学び直し、起業等さまざまなことへの挑戦が可能となってまいります。

 北斗市は、スポーツ、音楽が盛んなまちとして毎年小中学生が全道、全国大会等で優秀な成績を収めております。また、新年度には、全国高等学校総合体育大会 (インターハイ) 相撲競技が北斗市で開催されることとなっており、市民の皆さまの応援をよろしくお願い申し上げます。

 ここ数年においては新型コロナウイルスのまん延により、さまざまな活動が制限されてきましたが、やっとウィズコロナが認識されはじめ、各種行事や大会などが実施されるようになってきました。

 昨年は、北斗市のまちづくりの一環として、「音楽のまち・ほくと」に関わる事業が数多く実施され、市民の皆さまへも徐々に浸透してきているのではないかと思っており、市内外に向けたさらなる取り組みを進めてまいります。                              

 また、高齢者大学におけるオープンキャンパスにつきましては、今年度より実施してきましたが、好評につきさらに間口を広げてまいりたいと考えております。

 さらには、今年度から実施しております婚活事業についても試行錯誤しながら、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 青少年の健全育成につきましては、昨年4月より成人年齢が18歳に引き下げられましたが、高校生年代ということから大人としての自覚をもつことはまだまだ浸透していないのではないかと感じており、学校教育の段階でしっかりとした教育を進めていかなければなりません。

 従来の成人式は、本年より20歳を対象とした「二十歳を祝う会」という名称で実施したところでありますが、今後においても同様に実施してまいります。

 また、青少年育成大会や子ども議会を通じて、子どもたちが自分の住んでいるまちについて考え、発表する経験を、ふるさと学習や主権者教育の一つとしていきたいと考えております。

 図書館につきましては、令和3年度から始めた読書の通帳事業が小学生を中心に好調であり、さらなる工夫をしながら継続してまいります。

 また、図書館まつり、夜の図書館、読み聞かせ事業につきましても、従来の形に音楽を組み合わせることにより、興味関心を高めることができました。新年度からは、図書館ボランティアジュニアサポーターの掘り起こしをさらに進め、若い世代による図書館事業も進めてまいりたいと考えております。

2 市民が主体的にかかわる芸術・文化の振興とスポーツ活動の推進

 北斗市では、令和2年度より「音楽のまち・ほくと」を掲げ、まちづくりを進めているところですが、令和4年度からは指導主事を配置し、市民の皆さまが音楽に親しむ機会を数多く提供してきたところであります。

 今後におきましてもさまざまな行事、事業に音楽をコラボすることにより、その事業のクオリティーを高め、市民の皆さまのニーズに対応した事業を進めてまいりたいと考えております。

 また、「音楽のまち・ほくと」が行政主導でなく、各サークルや団体、個人が主導できる体制を作っていくことが今後の課題であると捉えております。

 文化財につきましては、昨年文化財に関する団体が一本化されたことから、郷土資料館を拠点とした活動に対し、協力をしながら進めていくことが大事なことであると思っております。

 特に、縄文展や松前藩戸切地陣屋跡展などの特別展は人気の高い展示となっていることから、市民の皆さまの意見を聴きながら、北斗市の歴史と文化に興味を持っていただける企画展示を進めてまいりたいと考えております。

 スポーツ活動につきましては、生涯を健康で生きがいのある生活を送るうえで必要な活動であり、より多くの市民の皆さまが参加できるスポーツ教室や大会を企画運営してまいります。

 また、総合運動公園は多種多様な競技が可能となる施設が充実しており、多くの市民の皆さまに利用されておりますが、陸上競技場やフットボール場には多くのスポーツ合宿が来ており、一流の選手の練習が行われておりますので、これらの方々とのふれあいや指導をしていただくような交流も進めていきたいと考えております。

 現在、総合運動公園の改修が行われており、完成時には施設全体を活用した事業も検討していかなければならないと思っております。

 また、市民プールにつきましては、新年度から指定管理者による管理に移行し、民間ノウハウの活用や市民ニーズにあった事業展開を進めていくことといたします。

 施設改修等につきましては、かなで一る横の民有地を購入し、駐車場として活用を図ってまいります。また、浜分体育センターの屋根、壁の改修工事を実施してまいります。

むすびに

 新型コロナウイルス感染症は変異を繰り返し3年以上にわたってまん延しておりますが、これからの時代において、感染予防を実施しながら従来の活動を取り戻していかなければならないと考えております。

 ウィズコロナを意識した中で、これからの学校教育、社会教育を進めていくことが重要であると考えておりますので、市民の皆さまのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 現在の超情報化時代への移行は産業革命以来の大きな社会変化ともいわれております。これからの時代を担っていく子どもたちが社会で活躍していくために、学校現場や家庭、地域の皆さまにおいても変化に対応するための意識改革をしていかなければならないと思います。

 北斗市が今後ますます発展していくためにも、子どもたちが健やかに育っていくこと、そして市民の皆さまが健康で生きがいを持って暮らしていけることを願い、教育の充実に誠心誠意努力してまいる所存であります。

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