基本計画 -第2章-

第2章 個性とうるおいのある都市基盤づくり

第1節 土地利用の推進

現状と課題

 北斗市は、渡島半島の南部、南側は函館湾に面した大野平野の中心部に位置し、一般国道227号及び228号に並行して発展してきたまちです。
 土地利用の動向に伴い、昭和45年12月に都市計画区域が、昭和46年9月には農業振興地域がそれぞれ設定されました。
 昭和50年代に入ってから、企業進出や宅地開発が活発化し、追分地区や国道227号沿いの清水川地区、萩野地区など、さまざまな工業団地が形成され、今後も需要の高まりが期待されます。宅地開発に伴い人口の延びも順調に推移し、古くから函館と江差を結ぶ宿場町の中心として栄えた北部の本町地区一帯は、旧国道である大野市街通に面した商業店舗を包含し良好な住宅開発が進められています。一方、東部の七重浜から久根別地区にかけては極端に人口が集中する傾向が強まり、反面、西部の茂辺地、当別地区が減少著しいなど、偏りの状況も見受けられます。
 市内における事業として、北部では、北海道新幹線及び新駅の建設、それに伴う周辺開発、また、西部では、高規格幹線道路函館・江差自動車道の道路整備など、まちの発展に欠かせない事業が進んでいます。なお、高規格幹線道路函館・江差自動車道の大野インターチェンジと上磯インターチェンジの2ヶ所が供用開始されていますが、現在、富川インターチェンジと茂辺地インターチェンジも整備が進められ、茂辺地、石別地区への物流や人の流れが増えることから、民間活力の参入も含め地域の活性化が期待されるところです。
 今後は、活力と魅力あるまちづくりを進めるため、自然・社会特性とその動向を把握し、長期的視点に立って自然環境の保全を図りながら、計画的かつ総合的な土地利用を推進することが必要となっています。

市街化区域・市街化調整区域の推移

 農業地域については、米の生産過剰や貿易の自由化の影響で農地の利用が低下し、遊休農地が増加しています。このため農業振興地域整備計画ではこれらの点に留意しながら、農業を活性化するとともに農地の有効活用を図っていく必要があります。

農業振興区域・農用地区域の推移

用途別農地などの転用許可面積の推移

 森林地域については、これまでの木材生産主体の考え方から国土保全、環境保全、水源涵養などの公的機能重視の方向に変わりつつあるため、森林整備計画ではこれらの観点に立って森林の利用を図っていく必要があります。

森林面積の推移

 今後は、この計画にあるまちづくりの将来像や目標に向け、機能別の土地利用方向、利用区分別の方策を明確にするとともに、土地利用計画の円滑な推進を図る諸方策についても、生産の場と生活の場が調和した地域づくりを展開していく必要があります。

<施策の体系>

土地利用の推進
1. 計画的な土地利用の推進
2. 機能別土地利用の方針
3. 地目別利用区分ごとの方策

主要施策

1. 計画的な土地利用の推進
(1) 市街化区域の未利用地については、周辺土地利用との円滑な調整を図りつつ、有効利用に努めます。
(2) 市街化調整区域については、都市動向を踏まえ、農林業との調整を図り、豊かな自然環境を身近に感じられる田園風景と調和した適切かつ計画的な都市的土地利用の調整に努めます。

2. 機能別土地利用の方針
ア)都市地域

(1) 都市計画区域約7,390haのなかの市街化区域約1,109haについては、都市計画マスタープランを策定し、空閑地においては良好な土地利用の転換を図り、都市機能の向上と快適な居住環境を確保します。また、市街化調整区域約6,281haについては、北海道新幹線の新駅周辺の整備や、新規工業団地の造成など、未利用地の土地利用動向を見据えながら、それぞれの実態にあわせた有効利用に努めます。
(2) 市街化区域の発展方向に即し、用途地域を見直します。
(3) 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域であることを考慮し、努めて緑地、森林、水路、河川の保全、道路や公共用地の確保などに努めます。
イ)農業地域
(1) 集団的に利用可能な農地については、将来も農業生産に必要な農地として確保するよう努めます。
(2) 市街化区域に隣接している区域や開発の進んでいる地域の農地及び分散している農地などは、農業振興と地域振興の調和を図りつつ、適切な利用を検討します。
ウ)森林地域
(1) 保全を主体とした公益的機能を発揮すべき森林と、木材生産機能主体の森林とに区分し、森林機能の維持保全に努めます。
(2) 生活環境、水資源や漁業資源を守るため、保安林や河川上流域の森林環境の保全に努めます。
 また今後も、館野地区、文月神社、意冨比神社の環境緑地保護地区と戸切地地区自然景観保全地区、向野生活環境保全林の環境保全に努めます。

3. 地目別利用区分ごとの方策
ア)農用地

(1) 水田は、ほ場整備の完了した地域を主体として集団的利用に努めます。
(2) 畑は高台地帯を露地栽培中心に、集落周辺地帯を施設栽培中心に利用します。
(3) 農地の生産性向上を図るため、農地の流動化や集積化を促進し、遊休農地の防止や効率的利用に努めます。
イ)森林
(1) 全森林面積の59.9%を有する国有林は、広葉樹の植林をはじめ、国土保全、水資源の確保に不可欠な森林として保全するよう要望します。
(2) 市有林は環境保全を主体とした森林として、育成します。
(3) 私有林は森林の公益的機能の保全に配慮しながら、適正な施業の指導をします。
ウ)河川・水路
(1) 河川は、水害を防止するための改修の促進、やすらぎの場としての活用などに努めます。
(2) 水路は、用排水路としての機能を果たすために必要な用地を確保し、整備します。
エ)宅地
(1) 住居地域並びに住居専用地域への住宅建設を誘導するとともに、快適でゆとりある環境を確保します。
(2) 工業地域への工場集積を促進し、団地化に努めます。
(3) 商業地域は、買物環境の適正配置により市民の利便性向上に努めます。

 

第2節 都市計画の推進

現状と課題

 平成19年3月末現在では、都市計画区域約7,390ha、市街化区域約1,118ha、市街化調整区域約6,272haとなっています。
 市街化区域内の用途地域は、良好な住環境を保全する住居専用地域はある程度確保されていますが、依然として準工業、工業、工業専用地域の占める割合が高く、近隣商業及び商業地域は少ない状況になっています。
 七重浜地区の工業地域の一部では、宅地造成が進み住工混在を呈しているため、都市計画による特別工業地区を設定し、住環境の保全に努めてきました。
 また、宅地造成に伴う市街化区域の拡大はこれまで順調に推移してきましたが、今後は少子化の影響を踏まえる必要があり、新たに整備される北海道新幹線や高規格幹線道路函館・江差自動車道の開通により、他圏域からの人口流入は大いに期待されるところです。

区域区分

用途地域

都市計画図 (PDF 166KB)

<施策の体系>

都市計画の推進
1. 市街化区域及び用途地域の見直しの推進
2. 都市施設の適正配置の推進
3. 総合的な緑化施策の推進
4. 住居表示事業の推進

主要施策

1. 市街化区域及び用途地域の見直しの推進
(1) 都市計画マスタープランに基づき、今後の人口動向、市街地の発展方向、土地利用の動向などを勘案し、長期的な視点で市街化区域及び用途地域の見直しを進めます。
(2) 北海道新幹線の新駅周辺については、業務系の用途で市街化区域の拡大を図り、魅力ある新市街地にするとともに、随時動向を勘案し市街化区域の拡大を検討します。
(3) 七重浜から久根別・東浜地区の一部では、住宅地と工場や事業所などが混在しており、これらの純化を図るため、適正な用途地域の見直しに努めます。
(4) 市街化区域内の未利用地については、積極的に市街地の形成に努めます。

2. 都市施設の適正配置の推進
(1) 都市計画街路整備を進めるとともに、公共下水道の整備、計画的な公園の配置を推進し、快適でうるおいのある生活環境の整備に努めます。

3. 総合的な緑化施策の推進
(1) 緑の基本計画に基づき、公園、緑地の計画的な整備を図るなど、総合的な緑化施策を推進し、緑豊かでうるおいのある都市環境づくりに努めます。

4. 住居表示事業の推進
(1) 市街地の建物に対し、合理的に順序よく番号をつけ分かりやすく住所を表し、訪問などの利便性向上や、救急、集配業務や事務処理などが容易になるよう、地域住民の意向を踏まえながら実施します。

 

第3節 市街地の整備

現状と課題

 生活水準の向上や生活意識の変化に伴い、住宅の質やゆとり、公園など周辺施設も含めて良好な住環境が求められる傾向にあります。
 今後は、都市計画街路や公共下水道、公園、緑地などの住環境の整備とあわせ、計画的かつ効果的なゆとりのある宅地開発の誘導が必要となっています。

<施策の体系>

市街地の整備
1. 既存市街地の居住環境の向上

主要施策

1. 既存市街地の居住環境の向上
(1) 既存の住宅地及び新規住宅地においては、快適な居住環境の向上を図る観点から、住宅の居住水準の向上や良質な住宅ストックを促進します。
(2) 老朽化や狭小化などの理由で居住水準の向上を図るべき公的住宅については、建替などにより改善を図るとともに、バリアフリー化を推進することなどにより、高齢者や障がい者に配慮した良質な住宅ストックの拡充に努めます。
(3) 既存市街地の整備にあたっては、都市計画街路や公共下水道、公園、緑地の計画的な整備を進め、都市的機能の充実と居住環境の向上に努めます。

 

第4節 公共交通の充実

現状と課題

 鉄道は、JR北海道が運行する江差線・津軽海峡線と函館本線があり、江差線では7駅、函館本線では北海道新幹線が乗り入れる渡島大野駅があります。
 江差線は、北海道新幹線の並行在来線として新幹線開業時に木古内駅・五稜郭駅間がJR北海道から経営分離されることが決定されており、経営分離後の通学者や通勤者などの沿線住民の足を確保する必要があります。
 また、函館本線については、新幹線開業により新駅と函館駅間の円滑なアクセス機能が求められています。
 函館バスが運行する乗合バス路線は、函館市内から国道227号と228号を運行する路線と一般国道227号と5号を循環する路線の3系統があります。
 合併により、旧上磯地区と旧大野地区の公共施設を利用する交流機会が増えており、両地区を結ぶ路線の確保が必要になっています。
 また、新幹線開業にあわせ、新たなバス路線を検討する必要があります。
 鉄道やバスの公共交通は、通学や高齢者など交通弱者にとって欠かせない交通手段になっています。これら公共交通は、マイカー利用の増加により年々利用客数が減少傾向にあり、公共交通機関の経営が厳しい状況にあります。
 このため、現在、北斗市内を運行する路線バスは、21路線の内国道227号を運行する6路線と国道228号を運行する1路線が、函館市、北斗市、七飯町の財政支援により運行が維持されております。

江差線・津軽海峡線の輸送人員の推移

北斗市内を運行する路線バスの輸送人員の推移

<施策の体系>

公共交通の充実
1. 鉄道交通の確保・充実
2. バス交通の確保・充実
3. 公共交通の利用促進

主要施策

1. 鉄道交通の確保・充実
(1) 江差線経営分離後の対応について、平成17年7月に設置した北海道と北斗市、函館市、木古内町の沿線自治体で構成する「北海道道南地域並行在来線対策協議会」で沿線地域の公共交通機関の確保について検討が進められていますが、並行在来線は鉄道の存続を基本としつつ他の輸送手段も含め、沿線住民が安心して利用できる公共交通機関の確保に努めます。
また、開業後の新駅と函館駅間の在来線アクセスについては、新幹線の運行本数に対応した円滑な列車運行を求めていきます。

2. バス交通の確保・充実
(1) 通勤・通学、通院、買い物のほか、合併による二つの中心市街地を結ぶ足の確保など市民の利用に配慮した路線の充実について、バス事業者などに働きかけ、市民生活の移動手段として効率的な生活交通の確保に努めます。
また、新駅を経由する新たなバス路線の創設を要望します。

3. 公共交通の利用促進
(1) モータリゼーションの進行による交通渋滞の解消や地球温暖化防止による二酸化炭素排出抑制に資するため、公共交通の利用促進の啓発に努めます。
(2) バス路線を取り巻く厳しい状況のなか、バス路線を維持するため利用促進の啓発に努めます。

 

第5節 広域交通ネットワークの整備促進

現状と課題

 北斗市の道路網は、函館市から七重浜・追分・本町地区を経て檜山方面へ至る一般国道227号と七重浜から函館湾の海岸線沿いを走り渡島西部方面へ至る一般国道228号が地域の経済活動や生活道路の主要な幹線として、これらに道道11路線と市道が接続され都市機能が形成されています。
 一般国道228号では、現在、谷好・富川地区で4車線の拡幅工事が進められています。
 高速交通ネットワークは、主要な地域間を結び、道内の経済基盤の強化と地域の活性化を加速させ、国道などの交通渋滞緩和に資するため必要な社会基盤です。
 函館圏の高速交通ネットワークは、現在、高規格幹線道路函館・江差自動車道が函館インターチェンジ・上磯インターチェンジ間で供用されており、建設中の富川インターチェンジ、 茂辺地インターチェンジまでの早期完成と道央圏とを結ぶ北海道縦貫自動車道、函館空港とを結ぶ函館新外環状道路の建設を促進する必要があります。
 また、北海道新幹線の開業にあわせ、高速鉄道と高速道路との相乗効果を高めるため、新駅とのアクセスを重視した広域的な高速交通ネットワーク網の構築が必要です。
 都市計画道路は、22本の路線が都市計画決定されています。また、函館港の港湾施設の有機的・効率的な連携や都市部との交通の円滑化を図るため、引き続き函館港幹線臨港道路の整備促進を図る必要があります。

国道・道道の整備状況の推移

都市計画道路の決定状況

<施策の体系>

広域交通ネットワークの整備促進
1. 国道の整備促進
2. 道道の整備促進
3. 都市計画道路の整備促進
4. 幹線臨港道路の整備促進

主要施策

1. 国道の整備促進
(1) 北海道縦貫自動車道の整備促進を要望します。
(2) 高規格幹線道路函館・江差自動車道の整備促進を要望します。
(3) 地域高規格道路函館新外環状道路の整備促進を要望します。
(4) 国道228号の4車線化の整備促進を要望します。
(5) 国道227号のトンネル狭小断面、線形改良を要望します。

2. 道道の整備促進
(1) 新駅駅前通の早期整備を要望します。
(2) 道道大野インター線の早期整備を要望します。
(3) 道道茂辺地インター線の整備促進を要望します。
(4) 道道大野上磯線(南大野地区)の整備促進を要望します。
(5) 道道上磯厚沢部線の改良を要望します。

3. 都市計画道路の整備促進
(1) 大野市街通の早期着手を要望します。
(2) 久根別通の早期着手を要望します。

4. 幹線臨港道路の整備促進
(1) 港湾機能の充実や国道228号の混雑緩和を図るため、函館港幹線臨港道路湾岸線(第2工区)の整備促進を要望します。

 

第6節 高度情報通信の充実

現状と課題

 近年におけるインターネットや衛星放送の普及などにみられるよう、私たちの地域においてもコミュニケーションの手段である文字、音声、画像情報の高品質化、高速化、大容量化そして双方向通信が可能になるなど、情報通信の高度化が進んでいます。
 北斗市においては、簡素で効率的な行政システムを構築することを主眼に、これまで住民記録システムや印鑑・戸籍情報の電算化をはじめ、図書検索システムの導入やホームページを開設し、インターネットによる情報発信に取り組むなど、複数の分野において行政サービスの向上に努めてきました。また、小中学校における情報教育を充実し、さらには函館圏の取り組みとして、情報産業の育成支援に努めています。
 今後は、インターネットの急速な普及に見られるよう、だれもが時間や距離に関係なく情報を容易に発信あるいは入手できるようになっていることから、関係機関と連携を図りながら地域情報化を推進していく必要があります。

<施策の体系>

高度情報通信の推進
1. 生活・地域産業の情報化の推進
2. 行政サービスの情報化の推進
3. 情報教育の推進

主要施策

1. 生活・地域産業の情報化の推進
(1) 公共施設間のネットワーク環境を整備し、公共施設の利用や生涯学習など市民の生活に身近な情報提供や双方向通信機能の確立に努めます。
(2) 防災行政無線やインターネットなどの通信基盤を活用し、地震、大雨などの災害発生時における気象情報や避難誘導などの迅速かつ適切な把握と伝達に努めます。
(3)情報通信格差の是正については、民間事業者により市内の基盤整備が進められており、今後も関係事業者へエリア拡大を要望します。
(4) 地域づくり団体や産業団体などが自発的に情報発信に取り組むことができるよう、啓発活動や必要な助言に努めます。
(5) 函館市産業支援センターなどの活用促進により、情報産業の育成や地域産業の高度技術化の推進に努めます。

2. 行政サービスの情報化の推進
(1) 情報システム、情報機器などITを活用し、効率的な行政運営の推進と行政サービスの向上に努めます。
(2) インターネットを活用した電子申請サービスやダウンロードサービスなどの充実を図り、市民の利便性の向上に努めます。
(3) 職員の情報処理や利用する能力の向上を図るとともに、全庁的な情報管理の充実に努めます。

3. 情報教育の推進
(1) コンピュータなどの機器に慣れ親しむとともに、児童生徒の情報選択や活用能力を育てるため、学校における情報教育を推進します。
(2) 公立はこだて未来大学の活用などにより、地域情報化を推進する人材育成をはじめ、生涯学習における情報教育の充実に努めます。

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