総論

第1章 計画策定の方針

第1節 計画策定の趣旨

 北斗市は、平成18年2月1日に旧上磯町と旧大野町が合併して誕生した、新しいまちです。
 今回策定する「第一次北斗市総合計画」は、市民生活の安定と向上を目指し、人口の減少と高齢社会、地球規模での環境問題の顕在化、地方分権の推進など、さまざまな課題に市民とともに取り組み、新しい時代に向けた協働のまちづくりを進めるための指針として策定するものです。
 なお、計画策定にあたっては、上磯町・大野町合併協議会が策定した「北斗市まちづくり計画」の趣旨を尊重します。

第2節 計画の策定と位置付け

 この計画は、新しく生まれた北斗市の将来ビジョンを示し、市民と協働で、豊かで魅力あるまちづくりを総合的、計画的に進めるために策定するものであり、次のような性格と位置付けをもっています。

(1) まちづくりの最上位計画
 この計画は、北斗市におけるまちづくりの最も上位に位置付けられる計画であり、行政内部はもとより、地域全体に対してまちづくりの将来目標やその実現に向けての基本方針を示すもので、今後におけるさまざまな分野の計画策定に当たっては、総合計画との整合性が保たれるものです。

(2) 総合的、計画的な行政運営の指針
 この計画は、まちづくりを進めるに当たって、長期展望に立った計画的、効率的な行政運営の指針を示すものです。

(3) 市民・民間活動の指針
 この計画は、行政のみならず、市民や団体、企業など地域を構成するすべてとの協働によるまちづくりを実現するための指針となるものです。

(4) 国・道などの関係機関との連携
 この計画は、北斗市の総意としてまちづくりの方向を示しており、国・道など関係機関の事業との調整、連携を図るための指針となるものです。

 

第2章 計画の構成と期間

 第一次北斗市総合計画は、「総論」「基本構想」「基本計画」「実施計画」の4部門により構成されます。

第1節 構成と各部門の性格

(1) 総論
 総論では、総合計画の趣旨を明らかにするとともに、基本構想、基本計画、実施計画など、総合計画全体の構成やそれぞれの性格、期間をはじめ、社会の一般動向や地域的課題などについて示します。

(2) 基本構想
 基本構想では、総合計画の推進により目指す北斗市の将来像を描き、人口の指標や土地利用の基本方向を定めるとともに、推進すべき施策の基本方向、あらましを明らかにします。

 基本計画や実施計画に対しては、施策の立案、選択のいわば「よりどころ」となるものであり、指針を示すものです。

(3) 基本計画
 基本計画では、基本構想で描いた将来像を実現するために、各分野ごとに推進すべき施策を体系的に整理し、主要な個々の施策について示します。
 主要な個々の施策については、市が主体となる施策に加え、国・道などの関係機関、さらには市民や団体が主体となる事業についても位置付けます。

(4) 実施計画
 実施計画では、基本計画で定められた施策を効果的に実施するため、財政の状況や地域の対応、制度の動向などを考慮しながら、各施策の実施時期や事業内容及び財源内訳などを示すものであり、毎年度の予算編成の指針とするものです。

第2節 目標年次と期間

 基本構想と基本計画は、平成20(2008)年度を初年度に、平成29(2017)年度を目標年次とする10ヵ年計画とします。
 実施計画については、計画の実行性を高める上から、諸情勢の変化や財政状況を見極め、毎年度向こう3ヵ年のローリングを行い、柔軟に見直し、調整を図ります。

計画期間の概略図

 

第3章 計画策定の背景と基本的課題

第1節 北斗市の概況

1 沿革と発展過程

 平成18年2月1日、肥沃な大地と温暖な気候に恵まれ、漁業、農業、商工業を中心とし発展してきた旧上磯町と、農業を中心とし発展してきた旧大野町が合併し、道内35番目の市となる北斗市が誕生しました。
 旧上磯町は、明治13年に上磯村、谷好村、富川村、中野村、吉田村を範囲とした、上磯村ほか4か村戸長役場が設置され自治制を施行。その後、大正7年に町制を施行し、昭和30年には茂別村と合併しました。
 旧大野町は、明治13年に大野村、市渡村、本郷村、文月村、千代田村、一本木村を範囲とした、大野村ほか5か村戸長役場が設置され自治制を施行。その後、明治33年に6村が合併し大野村に、昭和32年には町制を施行しました。
 旧両町は、昭和59年にテクノポリス函館の地域指定を受け、工業団地の造成などにより企業誘致を積極的に推進したことで、一次産業と商工業のバランスがとれたまちとして発展し、安全で快適な質の高い住環境整備とが相まって定住化が進み函館圏域において安定した人口増加を遂げてきました。
 しかしながら、国の地方行財政制度の改革に伴い、今後の地方自治体のあり方をめぐる情勢が、一段と厳しい状況にあり、また、今後、少子・高齢社会化が一層進むなかで、地方分権時代に適切に対応し得る自立した自治体として、十分な規模・能力と行財政基盤の充実強化を図ることが急務となりました。
 このような状況のなかで、平成15年12月に任意合併協議会を、平成16年4月には法定合併協議会を設置し、さまざまな協議を経て、合併に至りました。
 北斗市では、先人たちが築き上げてきた歴史や文化を引き継ぎ、地域の持つあらゆる可能性を充分に活かしながら、喜びを感じることができる豊な環境を備えた新しい都市の創造に向かって取り組んでいます。

2 地勢と気候

 北海道の南端部に位置する北斗市は、南部が函館湾に面し、南東部は函館市、東部は七飯町、北部は森町と厚沢部町、西部は木古内町に隣接しており、総面積は397.30キロ平方メートルの市です。
 地勢は、北西部の脊梁山脈が南東部に緩傾斜となって農耕地が拓け、東側の平坦な大野平野にも大規模な農耕地が拓けています。
 また、市の約70%は国有林を含む山林であり、中小河川が多く、二級河川が8河川、準用河川が4河川、普通河川が83河川となっています。
 気象条件は、対馬暖流の影響を受け、海洋性の気候となっており、道内にあっては降雪量が少なく、比較的温暖で暮らしやすい地域となっています。

気温と降水量(平年値)

3 人口動向

(1) 総人口と総世帯数
 平成17年の国勢調査による北斗市の総人口は48,056人で、総世帯数は17,779世帯となっています。
 昭和60年からの推移をみると、渡島支庁管内全体では総人口が減少しているものの、北斗市はこの20年間で総人口が20.6%、総世帯数は49.9%増加しています。

(2) 年齢別人口
 平成17年の国勢調査による年齢別人口の比率は、0~14歳人口(年少人口)、15~64歳人口(生産年齢人口)、65歳以上人口(老年人口)のそれぞれが、15.7%、64.6%、19.7%となっています。
 昭和60年からの推移をみると、生産年齢人口比率に大きな変化はありませんが、年少人口比率が減少する一方で老年人口比率は増加しており、北斗市においても少子・高齢化は確実に進んでいるといえます。

人口世帯数の推移、年齢別人口比率の推移

(3) 世帯構成
 施設などの世帯を除く一般世帯の1世帯当たりの世帯人員は、昭和60年の国勢調査では3.31人だったのが、年々減少し、平成17年には2.64人となっています。
 世帯人員別と家族類型別の世帯構成の推移をみると、3人以下の世帯、とりわけ夫婦のみ世帯や単身世帯が増加しており、このことが1世帯当たりの世帯人員を減少させている要因となっています。

世帯構成比率(世帯人員別)の推移

世帯構成比率(家族類型別)の推移

(4) 地区別人口
 浜分、久根別両地区における人口は他の地区と比べ増加の速度が速く推移し、平成17年の国勢調査による両地区の人口は北斗市全体の47.8%と半数近くを占めています。
 中央地区は増加し、上磯駅周辺地区は平成2年まで減少し、以後は横這いとなっています。
 本町、市渡両地区は平成2年に一旦減少し、その後は横這いとなっています。
 谷川地区はおおむね横這いで推移していますが、沖川地区や添山・桜岱地区、茂辺地地区、石別地区、萩野・島川地区、中山地区の農漁村集落は減少の傾向にあります。

地区別人口の推移

(5) 就業者数
 平成17年の国勢調査による就業者数は、第3次産業が14,923人と全体の66.3%を占め、第2次産業5,539人(24.6%)、第1次産業2,018人(9.0%)と続き、業種別(産業大分類別)でみると、サービス業7,189人(31.9%)、卸売・小売業4,434人(19.7%)、製造業2,929人(13.0%)、建設業2,559人(11.4%)が上位を占めています。
 昭和60年からの推移をみると、第1次産業の就業者数は実数、比率とも年々減少し、平成17年までの20年間で1,557人(43.6%)減少し、反面、サービス業と卸売・小売業の就業者数は、それぞれ3,953人(+122.2%)、1,163人(+35.6%)と高い伸びを見せています。
 製造業の就業者数は、昭和60年から平成7年までの10年間は増加し、その後は横這いとなっています。

就業者数の推移

4 地域構造と土地の地目構成

 北斗市の地域構造は、歴史的背景や市街地の形成過程などから「浜分地区」「久根別地区」「中央地区、谷川地区、上磯駅周辺地区」「沖川地区、添山・桜岱地区」「茂辺地地区、石別地区」「本町・市渡地区」「萩野・島川地区」「中山地区」の8地区に大別されます。
 浜分地区や久根別地区、中央地区、谷川地区、上磯駅周辺地区は、追分、中野通の一部に農村集落がありますが、住宅や事業所が集積し、基本的に都市型の構造となっています。
 本町・市渡地区、萩野・島川地区は、本町、本郷、市渡、向野、清水川の一部に住宅や事業所が集積していますが、他の地区については、規模の大きい水田、畑を有する、農村集落型の構造となっています。
 沖川地区や添山・桜岱地区も比較的規模の大きい水田、畑を有する地区で、農村集落型の構造です。
 茂辺地地区、石別地区は、いずれの地区も海岸に接した漁村集落ですが、茂辺地地区の茂辺地市ノ渡では水田農業、石別地区の三ツ石山麓地では酪農を営む農家が点在しています。
 中山地区は一部に事業所が集積していますが、大部分が山林の山間部です。
 また、北斗市の総面積39,730haのうち27,401ha(69.0%)が国有林を含む山林で、次に田や畑などの農用地4,480ha(11.3%)、宅地960ha(2.4%)と続く地目構成になっています。

5 財政の動向

 現在、我が国の財政は極めて厳しい状況にありますが、危機的な財政状況にあるのは地方財政も例外ではありません。一方で、地方分権や今後の高齢化の進展などにともない、地方自治体の役割はますます大きくなっていくものと考えられます。
 このような状況の中、北斗市の財政状況は道路・下水道などの都市基盤整備事業や扶助費などの義務的経費、北海道新幹線開業に向けた関連事業の実施など多額の財源が必要となることが見込まれますが、市の最も主要な財源である地方交付税については、国と地方の税財源制度を見直す三位一体改革において、交付税が削減され、今後においても、この基調は変わらないものと考えられます。
 このため、税及び税外収入の歳入の確保に努めるとともに、事務事業についても見直しを行うなど、限られた財源の中で効率的な事業実施を図り、健全な財政運営に努めることが必要となります。

普通会計決算の推移

経常収支比率の推移

第2節 今後の基本的課題

1 時代の潮流

 21世紀は社会変化のスピードがますます速くなり、社会構造の変化などにより、これまでの価値観が変わる時代の転換期にあります。
 北斗市においても、一大プロジェクトである「北海道新幹線開業」など、新たな時代の潮流を的確にとらえ、将来の進むべき方向を確立していくことが必要です。

(1) 北海道新幹線の開業
 北海道道民の長年の悲願であった北海道新幹線は、平成17年4月に新青森・新函館(仮称)間の着工が決まり、平成27年度末までの開業を目指しています。
 開業後は、首都圏や北関東、東北地方との間で大幅な移動時間の短縮が実現され、北海道に大きな交通革命の時代が到来します。
 新駅は、北海道の玄関口として、観光やビジネスなどの人々の交流が活発になり、経済活動への大きな波及効果が期待されています。

(2) 少子・高齢社会への突入
 わが国の総人口は、出生率の低下などにより平成16年12月の1億2,784万人をピークに人口が減少となり、急激な少子・高齢社会に突入しました。このため、労働力人口の減少や年金、医療、福祉など社会保障分野の負担が増大するなど、社会全般に大きな影響を及ぼすものと予測されています。
 市民一人ひとりがいつまでも自立した生活を送ることができるよう、保健、医療、福祉など、さまざまな分野が相互に連携するしくみづくりが必要となります。
 北斗市においても、子どもを生み、育てやすい環境づくりやお年寄りが生きがいを持って社会参加できる環境づくりなど、少子・高齢社会に応じた多様な取り組みが求められています。

(3) 持続可能な循環型社会への移行
 地球温暖化、オゾン層の破壊、大気・海洋汚染など、地球規模での環境問題が深刻化しています。
 また、良好な自然環境への関心や、自然とのふれあい、ゆとりとうるおいある快適環境への要求の中で、みどりや海を将来世代とともに共有する財産と位置付け、自然環境と調和した、環境負荷の少ない持続可能な地域社会の実現に取り組んでいく必要があります。
 このため北斗市の廃棄物処理対策は、家庭を含めた社会全体の問題としてとらえ、これまで市民主体の自主的なリサイクル活動や廃棄物の減量化を目的とした分別収集など、市民と行政が協力し合いながら、取り組みを進めてきたところです。
 今後もさらに、リサイクル活動の推進や植樹による森づくりを積極的に進めるなど、環境に配慮した循環型の社会へと改めていくことが求められています。

(4) 地方分権の推進
 平成12年4月に「地方分権一括法」が施行され、制度的には国と地方自治体は対等・協力の立場となり、地方自治体は、住民福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担うこととされました。
 また、地方分権をさらに推進するため、国と都道府県の関係見直しなどが論議されており、北海道と北斗市の関係においても、権限の移譲が進められております。
 このような中、市民ニーズに応え公共サービスを提供する責任は、国よりもむしろ市民により近い地方公共団体が大きく負うことになりました。
 このため、北斗市においても、市民の選択と責任に基づくまちづくりにより、ゆとりと豊かさを実感できる地域社会を築いていくことが求められています。

(5) 協働のまちづくり
 市民の行政に対するニーズが多様化・高度化する中で、地域づくりをこれまで以上に市民自らが主体となる地域自治・市民参画のまちづくりが求められています。
 このような中、市民ニーズを的確に把握し、適切な行政サービスを提供するためには、市民と行政の役割分担を明確にしつつ、行政の透明性・公平性を高め、市民と行政が情報を共有しあえるシステムづくりを進めながら、市民参画の積極的な推進など、市民と行政が協働でまちづくりを行なっていく必要があります。

2 国や道などの計画の概要

 国・道の計画や広域的な視点から策定された関連計画は次のとおりです。これら計画との整合性も確保しつつ、北斗市のまちづくりを展開していく必要があります。

(1) 国土形成計画(全国計画)

策定機関 国土交通省/策定年度 平成19年度/目標年度 今後概ね10ヶ年間

新時代の国土構造の構築

  • 多様な広域ブロックが自立的に発展する国土を構築するとともに、美しく、暮らしやすい国土の形成
  • 自立的な広域ブロック形成に向けた国と地方の協働

新しい国土像実現のための戦略的目標

  • 東アジアとの円滑な交流・連携
    • 東アジアネットワーク型の産業構造下における我が国産業の強化
    • 東アジアの共通課題への取組、文化交流、人材育成
    • 円滑な交流・連携のための国土基盤の形成
  • 持続可能な地域の形成
    • 持続可能で暮らしやすい都市圏の形成
    • 地域資源を活かした産業の活性化
    • 美しく暮らしやすい農山漁村の形成と農林水産業の新たな展開
    • 地域間の交流・連携と地域への人の誘致・移動の促進
  • 災害に強いしなやかな国土の形成
    • 減災の観点も重視した災害対策の推進
    • 災害に強い国土構造への再構築
  • 美しい国土の管理と継承
    • 循環と共生を重視し適切に管理された国土の形成
    • 流域圏における国土利用と水循環系の管理
    • 海域の適正な利用と保全
    • 魅力あふれる国土の形成と国土の国民的経営
  • 「新たな公」を基軸とする地域づくり
    • 「新たな公」を基軸とする地域づくりのシステム
    • 多様な民間主体の発意・活動を重視した自助努力による地域づくり

(2) 第7期北海道総合開発計画(仮称)

策定機関 国土交通省/策定年度 平成20年度(予定)/目標年度 平成20年度からおおむね平成29年度

北海道開発の戦略的目標

  • アジアに輝く北の拠点~開かれた競争力のある北海道の実現
  • 森と水の豊かな北の大地~持続可能で美しい北海道の実現
  • 地域力ある北の広域分散型社会~多様で個性ある地域から成る北海道の実現 

計画推進の基本方針

  • 多様な連携・協働
  • 新たな時代を見据えた投資の重点化
  • 新たな北海道イニシアティブの発揮

計画の主要施策

  • グローバルな競争力ある自立的安定経済の実現
  • 地球環境時代をリードし自然と共生する持続可能な地域社会の形成
  • 魅力と活力ある北国の地域づくり・まちづくり
  • 内外の交流を支えるネットワークとモビリティの向上
  • 安全・安心な国土づくり

(3) 新・北海道総合計画「ほっかいどう未来創造プラン」

策定機関 北海道/策定年度 平成19年度/目標年度 平成20年度からおおむね10年

めざす姿
人と地域が輝き、環境と経済が調和する、世界にはばたく北海道

  • 世界に躍進する産業
  • ゆとりと安心のある暮し
  • 個性と活力に満ちた地域

政策展開の基本方向

  • 強みと可能性を生かした力強い経済・産業
  • 安心で心豊かな北海道ライフスタイル
  • 人と自然がともに生きる環境のフロントランナー
  • 未来を支える創造的な人づくりと知のネットワーク
  • 時代を見据えてつくり、生かす社会資本

地域づくりの方向道南連携地域(2市16町)

  • 北海道新幹線の開業を生かした地域づくり
  • 豊富な水資源などを生かした産業の集積の促進や新技術開発、新産業の創出
  • 個性豊かな地場農林水産物のブランド力の強化
  • 「食」や歴史的遺産・伝統文化などを活用した観光の振興
  • 安心・安全で活力ある離島生活の確保
  • 安心して暮せる地域医療の確保
  • 国内外との交流拡大と交通・情報ネットワークの形成

(4) 第5次渡島広域市町村圏振興計画

策定機関 広域市町村圏振興協議会/策定年度 平成19年度/目標年度 平成29年度

計画の区域 渡島管内11市町
将来像 新幹線とともに輝ける未来へ ~人々が躍動し魅力あふれる渡島~

主な目標

  • 北海道新幹線の開業効果を最大限に生かした地域づくり
  • 広域交通ネットワークの形成と国内外の交流拡大
  • 地域の個性を生かした活力と創造性に満ちた産業の振興
  • 健やかで安心して快適に暮せる生活環境の形成
  • 時代の進展に対応した地域を支える人材の育成

地域的展望
渡島中部地域(函館市、北斗市、七飯町、鹿部町、森町)

  • 函館圏を中心とした拠点都市機能の強化
  • 新しい産業の育成を含め多種多様な産業の振興による地域経済の活性化
  • 国際性豊かな歴史を生かした国際交流拠点の形成
  • 各種観光資源を生かした通年型・滞在型観光による広域観光圏の拠点の確立
  • 青函圏域の各種交流事業の促進による青函経済文化圏の形成
  • 北海道新幹線の新駅周辺の整備や交通アクセスの強化
  • 陸・海・空の交通拠点機能を生かした広域交通ネットワークの形成

3 まちづくりに対する市民の意向

 平成18年9月に実施した市民アンケート調査の結果により、将来のまちづくりに対する市民の意識・意向の特徴をあげれば、次のように要約されます。

(1) 北斗市の印象(イメージ)について
 北斗市の印象として、「明るく」「清潔で」「ふれあいや連帯感があり」「誇りや郷土愛を感じる」まちとの印象を多くの市民が持たれている反面、「個性」や「活気」に欠けているという指摘があります。

(2) 定住について
 全体の8割近くの市民が「今の所に住み続けたい」とし、「市内の別な所へ移りたい」の約1割と合わせると、9割近くの市民が北斗市に住み続けたいとの思いを持っています。

(3) 日常生活について
 「ごみ、し尿処理」「日常の買い物の利便性」「下水道や雨水排水の整備状況」などについて、住み良いまちとの意見が多い反面、「道路の除雪状況」「働く場所」について、「不満」又は「やや不満」との指摘があります。

(4) 今後取り組むべきまちづくりの各分野について
 市民が行政に取り組みを望む分野としては、「高齢者・障害者などの社会福祉の充実」「若者定住や人材育成の推進」「地域産業の振興」が多く挙げられています。

(5) 地域産業の振興方向について
 地域産業の振興方策に関する市民の考えとしては、「雇用の場の拡大に結びつく企業誘致」「地産地消の推進」「生産性の高い農林業の育成」が多く挙げられています。

(6) 生涯学習を促進するための施策について
 生涯学習活動に、市民が望む施策としては、「利用施設の整備・充実」「施設や講座・教室の情報など各種情報提供の充実」「施設の利用時間の延長や利用方法の利便化」が多くなっています。

(7) まちづくり活動への参加について
 まちづくり活動への参加については、「あいさつや親切に心がける」「明るいまちづくり活動に参加する」が最も多く、これに「高齢者などのための福祉活動に参加する」「安全なまちを目指し、交通安全や防犯・防災活動に参加する」と続いています。

4 まちづくりの課題

 北斗市の誕生、そして大きく変革する時代背景を踏まえ、市民ニーズにあった、将来のまちづくりに向け取り組まなければならない課題については、次のようになります。

(1) 新幹線を生かしたまちづくり
 新幹線を生かしたまちづくりについては、新幹線の開業に伴う経済効果が広く道南地域に及ぶよう、行政と民間が連携しながら、新駅を拠点として広域的な視点に立って進める必要があります。
 このため、新幹線による本州との活発な観光・ビジネス交流を誘引する施策を図るとともに、新駅を核とした地域間の交流人口の拡大を促す広域交通ネットワークの構築や新駅周辺に地場産業を含む経済活動の活気あふれる新たな都市拠点の基盤づくりなど、北海道の玄関口にふさわしいまちづくりが求められています。

(2) 人と自然が調和した環境の持続と生活環境づくり
 市民の生活にうるおいとやすらぎをもたらす、豊かな自然は、地球環境が問題となっている今日、その重要性が一層強まっています。
 この豊かな環境を次の世代に引き継ぐためには、緑や水、大気などの自然がもっている再生・自浄能力の有限性を認識し、自然との適切なかかわりを保ちながら、植樹、省資源・リサイクルの促進、河川浄化など、環境改善につながる多様な取り組みを推進する必要があります。
 また、基礎的な都市基盤が充足されつつある現在、市民の価値観の多様化により、市民生活に直接かかわりのある公共交通の充実や交通安全対策など、身近な日常生活への対応が必要となります。

(3) 活力あふれる産業が発展するまちづくり
 働くことは人の暮らしを支える基礎的な要素です。産業の振興は働く場を提供し、多様で活発な経済活動を支えるとともに、市民の豊かな暮らしを支える重要な役割を担っています。
 現在の経済情勢は、全国的には回復しているとはいえ、北海道においては依然として厳しく、景気の動向は不透明な状況が続いています。活力ある産業構造への転換を図るためには、北斗市の持つ資源や特性を活かして、工業、農業、林業、漁業、商業、サービス業、建設業、観光関連産業などの産業間や産学官連携など、これまで以上の垣根を越えた新しい産業分野への進出、さらに、地産地消の推進が求められています。
 また、地域経済発展のため、北海道新幹線の開業に伴う波及効果を活かす検討が必要です。

(4) 地域と人々が支えあうまちづくり
 急速に進行する、少子・高齢社会において、乳幼児をかかえた保護者や高齢者及び障がい者を含め、市民が互いに支えあっていくことが重要です。
 市民ができるだけ長く健康で社会に参加できるよう、若い世代も含めた健康づくりへの取り組みを促進する必要があります。
 市民の多くは、高齢になっても住み慣れた地域で社会とかかわりあいながら暮らしたいと望んでいます。
 また、何らかの支援を必要とする高齢者が増加しています。
 このようなことから、市民が生き生きと暮らせる安心感のある社会を実現するためには、市民が支えあう良好な地域社会を形成し、市民一人ひとりが住み慣れた地域で生活できるような支援サービスの充実など総合的な取り組みが求められています。

(5) 豊かな心と文化をはぐくむまちづくり
 心豊かで、うるおいのある生活をするためには、人と人との心のふれあいを大切にし、思いやりに満ちた社会の創造と、生涯にわたって自由に学ぶことができる環境づくりを進めることが求められています。
 近年、子どものいじめや保護者の虐待などが社会問題化しており、家庭・学校・地域の連携や役割が重要視されています。
 また、生きがいをもって生活を送るためには、情緒豊かな生活を生み出す必要があり、生涯学習や文化活動を活用した、一層の創意・工夫が重要となります。
 このようなことから、市民一人ひとりが相互に交流を深め、連帯感を培い、生涯の各時期におけるさまざまな生活課題や地域課題に対する関心を高め、「いつでも」「どこでも」「だれでも」が学び続け、優れた芸術・文化活動に触れることのできる、環境づくりと、スポーツ、レクリエーション活動を一層推進していくことが必要です。

(6) 個性あふれる地域のまちづくり
 社会の成熟度が高まるなか、人と人とのつながり、良好な景観、安全な生活空間など、市民はより質の高い心豊かな生活を目指すまちづくりを求めています。また、多様化・高度化する市民ニーズに対応するため、行政サービスはこれまで以上に柔軟性や迅速性が必要となります。
 さらに、地域自治・市民参画の考え方が深まりつつあるなか、すべての人が平等にまちづくりに参加するシステムを構築することが重要です。
 このようなことから、地域の特性を活かしながら、さまざまな世代の交流や市民の主体的活動を中心とした個性あふれる地域のまちづくりを、協働で進める必要があります。

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