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北斗市郷土資料館 研究紀要について

現在、北斗市郷土資料館では、文化財を「まもり」「つたえる」ために(1)収集・保存(2)調査・研究(3)普及・活用を三つの柱として事業を行っています。

そのうち調査・研究の成果については、展示・講座等の普及事業において市民の皆様にお伝えしてきましたが、これらの事業では、スペースやわかりやすさなどを優先し、より伝わりやすく要点を抽出して文や情報の量を削る必要があるため、それらの基盤となる論考の具体・全容について詳細に伝えることのできる場はこれまでありませんでした。

また、展示・講座等の主題の他にも、併行して実施している研究があります。このほか、当市に眠る多くの文化財たちも、いずれ研究の日が当てられる時が来るでしょう。これらについて、その成果を内外に広く公表し、それによって世の広範な活用に資する場たることを目指し、このたび「北斗市郷土資料館 研究紀要」を創刊し、web上にて公開することとなりました。

本紀要が内外の方々にとってより広く・深く当市の文化財を知るための一助となり、またその内容を世に問うことによって斯界における集合知の形成・研究の発展に資し、引いてはさらなる文化財の保護・活用に寄与せんことを祈ります。

北斗市郷土資料館 研究紀要 第1号

 創刊号となる第1号では、北斗市郷土資料館において平成30年度から継続している、国指定史跡・松前藩戸切地陣屋跡についての、これまで6年間にわたる研究成果をまとめた論考を所収しています。研究の過程で明らかになった、幕末の松前藩が取り組んだ北方防衛の姿、当時のヨーロッパにおける軍事教本に極めて忠実な「日本初の洋式防衛拠点」としての松前藩戸切地陣屋の真価、そしてそれらの研究を通して浮き彫りになった日本における「稜堡式城郭」についての研究の問題点などに論究しています。

北斗市郷土資料館研究紀要第1号表紙

※下記リンクよりダウンロードをお願いします(紙媒体での出版物はありません)。

北斗市郷土資料館 研究紀要 第1号(PDF 9.41MB)

第1号所収内容

<論 考>
「日本最初の星の城」松前藩戸切地陣屋における19 世紀洋式軍学の実践
-日本における「稜堡式城郭」の理解のために-
(北斗市教育委員会 / 北斗市郷土資料館 時田 太一郎、p1-p59)
【論考内細目】
はじめに 
1.戸切地陣屋築城前史
(1)江戸時代後期以降における日本、および松前藩のおかれた北方防衛の実情
(2)戸切地陣屋の設計者・藤原重太(主馬)とその父・藤原正蔵
(3)重太の帰藩と西洋流砲術師範任命、そして松前崇広・藤原「主馬」の軍制改革
(4)箱館開港・蝦夷地再上知による海防政策の頓挫、および幕命による戸切地陣屋の築造
2.地勢および砲科(火制)能力からみる戸切地陣屋の防衛構造の分析と推定
3.戸切地陣屋の防衛構造における19 世紀洋式軍学の実践に係る分析
(1)戸切地陣屋本陣の考古学的分析による平面設計の推定および史書精査によるその原典の同定
(2)戸切地陣屋の基礎テキスト「サヴァール教本」とその時代的背景
(3)戸切地陣屋の防衛構造とサヴァール教本の比較照合による19 世紀洋式軍学実践の検証
4.「早すぎた」日本の稜堡式城郭の行方──洋式防衛理論の受容を阻んだ「日本的常識」の壁
(1)戸切地陣屋における竣工時までの構造理念と竣工後の運用実態の乖離、およびその要因
(2)五稜郭における当初設計時の構造理念と施工過程・竣工実態との乖離、およびその要因
(3)日本の稜堡式城郭の「末路」とその要因──城郭運用・評価における「日本的常識」の壁
おわりに

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教育委員会 社会教育課

北斗市郷土資料館

電話:
0138-77-8811
Fax:
0138-77-9825

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