○北斗市再生可能エネルギー発電事業と自然環境及び景観等との調和に関する条例

令和6年12月11日

条例第29号

(目的)

第1条 この条例は、再生可能エネルギー発電事業と災害発生の防止、北斗市の豊かな自然環境、美しい景観及び安全で安心な生活環境(以下「自然環境等」という。)の保全との調和を図るため、再生可能エネルギー発電設備の設置及び管理に関し必要な事項を定めることにより、自然環境等に配慮した豊かな地域社会の発展に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 本市における自然環境等は、先人から引き継がれてきたかけがえのない市民共有の財産として、現在及び将来の市民がその恵沢を享受することができるよう、その保全及び活用が図られなければならない。

2 再生可能エネルギー発電事業は、市、事業者、市民その他の地域の関係者相互の密接な連携の下に、災害発生を防止し、自然環境等に配慮し適正に行わなければならない。

(定義)

第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 再生可能エネルギー発電設備 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号。以下「法」という。)第2条第3項に規定する再生可能エネルギー源を電気に変換する設備(電力系統及び他の再生可能エネルギー発電設備に接続する系統用蓄電池設備(以下「系統用蓄電設備」という。)を含む。)及びその附属設備をいう。

(2) 再生可能エネルギー発電事業 再生可能エネルギー発電設備(以下「発電設備」という。)の設置及び当該設備による発電等を行う事業(木の伐採、切土、盛土等の造成工事を含む。)をいう。

(3) 事業区域 再生可能エネルギー発電事業(以下「発電事業」という。)の用に供する土地(発電設備に付属する管理施設、変電設備、洪水調整池、緩衝帯等に係る土地を含む。)であって、柵等の工作物の設置その他の方法により当該土地以外の土地と区別された区域をいう。

(4) 事業者 発電事業を計画し、これを実行しようとする者をいう。

(市の責務)

第4条 市は、第1条に定める目的及び第2条に定める基本理念に基づき、発電事業と災害発生の防止、自然環境等との調和が図られるよう必要な措置を講ずるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、発電事業にあたり、関係法令、関係ガイドライン及びこの条例を遵守し、災害発生を防止し、自然環境等を損なうことのないよう十分配慮し、並びに必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、発電設備及び当該事業区域の土地を適切に管理しなければならない。

(市民の責務)

第6条 市民は、第1条に定める目的及び第2条に定める基本理念に基づき、市の施策及びこの条例に定める手続きの実施に協力するよう努めなければならない。

(禁止区域)

第7条 市長は、発電事業と災害発生の防止、自然環境等の保全との調和を図るため、次の各号のいずれかに該当する区域で、特に必要と認められる区域を禁止区域として定めるものとする。

(1) 土砂災害その他自然災害が発生するおそれがあること。

(2) 豊かな自然環境、良好な農地又は良好な森林環境が保たれており、貴重な地域資源として保全する必要があること。

(3) 市を象徴する優れた景観を保全する必要があること。

(4) 良好な居住環境を保全する必要があること。

(5) 歴史的又は郷土的な特色を有する区域として保全する必要があること。

(6) その他発電事業により周辺地域に著しい影響を及ぼすおそれがあること。

2 事業者は、前項の規定により定められた区域を事業区域に含めてはならない。

(抑制区域)

第8条 市長は、前条に定める禁止区域以外で、発電事業の実施について特に配慮が必要と認められる区域を抑制区域として定めるものとする。

2 市長は、事業者に対し、前項の規定により定めた区域を事業区域に含めないよう求めることができる。

(区域の変更又は解除)

第9条 市長は、必要があると認めるときは、第7条及び前条の規定により定めた禁止区域及び抑制区域を変更し、又は解除することができる。

(適用を受ける発電事業)

第10条 この条例の規定は、市内全域において、発電設備の発電出力の合計が10キロワット以上の発電事業に適用する。ただし、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1項に規定する建築物に設ける太陽光を電気に変換する発電設備(以下「太陽光発電設備」という。)又は自己の居住の用に供する住宅の敷地内に設置する太陽光発電設備及び事業区域の面積が1,000平方メートル未満の系統用蓄電設備については、この限りではない。

(事前協議)

第11条 事業者は、第13条第1項の規定による届出をしようとするときは、あらかじめ規則で定めるところにより、発電事業の実施に係る計画(以下「事業計画」という。)について市長と協議しなければならない。

2 市長は、前項の規定による協議が終了したときは、事業者に対し、その旨を通知するものとする。

(説明会等の実施)

第12条 事業者は、前条第1項の規定による協議が終了し、次条第1項の規定による届出をしようとするときは、あらかじめ再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法施行規則(平成24年経済産業省令第46号)第4条の2の3の規定に基づき、事業区域の周辺地域(以下「周辺地域」という。)の住民等に対し、事業計画の内容を周知する説明会を開催し、又は事前周知措置を実施し、当該事業区域の属する町内会等及び当該発電事業の実施により影響を受けると認められる町内会等(以下「関係町内会等」という。)の書面による同意を得なければならない。

2 事業者は、前項の規定により説明会等を開催し、関係町内会等の同意を得たときは、市長に報告しなければならない。

(届出及び同意)

第13条 事業者は、発電事業を実施しようとする場合は、法第9条に基づく事業計画の認定の申請の日、又は当該発電設備の工事に着手する日の60日前のいずれか早い日までに事業計画について市長に届出を行い、同意を得なければならない。

2 事業者は、第7条の規定による禁止区域を事業区域に含む事業計画を市長に届け出ることはできない。

3 事業計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 事業者の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)

(2) 事業区域の所在地、面積

(3) 発電設備の種別、規模

(4) 発電設備の配置等の土地利用計画

(5) 自然環境、景観、生活環境の保全のための方策

(6) 雨水排水等の溢水を防止する施設の計画

(7) 設置工事の工期、発電設備の運転開始予定日

(8) 発電設備の維持管理計画(発電設備の廃止後において行う措置を含む)

(9) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項

4 第1項に規定する届出を行う場合には、当該事業区域を示す図面、その他規則で定める書類を添付しなければならない。

5 市長は、届出を受けた事業計画が他の市町の区域の災害の発生、自然環境等に影響を及ぼすおそれがあると認めたときは、関係する市町長に対してその旨を通知し、意見を求めることができる。

(同意の基準等)

第14条 市長は、第7条の規定による禁止区域を事業区域に含まない事業計画の届出があった場合において、当該届出に係る事業計画が次の各号のいずれにも該当すると認めるときでなければ、前条第1項に規定する同意をしてはならない。

(1) 周辺地域の景観を阻害するおそれがないこと。

(2) 事業区域及び周辺地域における自然環境を害するおそれがないこと。

(3) 太陽光の反射、騒音、振動等による近隣住民の生活環境に対する被害を防止するための措置が講じられていること。

(4) 周辺地域に溢水等による被害が生じないよう、放流先の状況を勘案して措置が講じられていること。

(5) 崖崩れ、出水その他による災害を防止するための安全上必要な措置が講じられていること。

(6) 関係町内会等の同意を得ていること。

(7) 発電設備が、法、電気事業法(昭和39年法律第170号)、その他関係法令及び関係ガイドラインの規定に適合していること。

(8) 市の総合計画、都市計画その他将来計画に適合したものであること。

2 市長は、前条第1項の規定による同意をする場合において、災害発生の防止、自然環境等の保全のために必要な条件を付することができる。

(着工の届出)

第15条 第13条第1項の規定による市長の同意を受けた者(以下「同意事業者」という。)は、発電設備の設置工事に着手するときは、あらかじめ市長に届け出なければならない。

(変更の届出)

第16条 同意事業者は、当該届出に係る事業計画を変更しようとするときは、変更後の事業計画について市長に届出を行い、同意を得なければならない。ただし、規則で定める軽微な変更を除く。

2 第14条の規定は、前項の規定による同意について準用する。

(工事完了の届出)

第17条 同意事業者は、発電設備の設置工事が完了したとき又は工事を中止したときは、速やかに市長に届け出なければならない。

2 市長は、前項の工事完了の届出があった場合は、速やかに届出の内容に適合しているかどうかについて確認し、その結果を同意事業者に通知するものとする。

3 同意事業者は、前項の確認の結果、適合している旨の通知を受けた後でなければ、発電設備の運転を開始してはならない。

(維持管理)

第18条 事業者は、発電事業が終了し発電設備を全て撤去するまでの期間、災害の発生又は生活環境等の保全に支障が生じないよう、発電設備及び事業区域内を常時安全かつ良好な状態となるよう、適切に保守点検及び維持管理を行わなければならない。

2 事業者は、発電事業に起因して住民から苦情等があったときなど、生活環境等への影響が認められた場合は、速やかに改善のための措置を講ずるとともに、その内容を市長に報告するものとする。

3 発電設備の異常又は破損等により周辺地域への被害が発生するおそれがある場合又は発生した場合、事業者は、速やかに市長にその旨を報告し、被害防止又は被害の拡大防止のための措置を講ずるものとする。

(承継の届出)

第19条 事業者から発電事業の譲渡、相続、売買、分割又は合併等により、その地位を承継した者は、速やかに市長に届け出なければならない。

2 地位を承継した者は、当該承継に係る発電事業について、この条例の規定による地位を承継し、当該事業者に付された一切の条件を遵守するものとする。

(発電事業終了の届出)

第20条 事業者は、発電事業を終了したときは、速やかに市長に届け出なければならない。

2 事業者は、発電事業を終了したときは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)等の関係法令を遵守し、発電設備を可能な限り速やかに撤去及び処分しなければならない。

3 事業者は、発電設備の撤去後の事業区域の植栽や法面の保護などの原状回復に必要な措置を行い、土地の適正な管理に努めるものとする。

(報告の徴収)

第21条 市長は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対し、報告又は資料の提出を求めることができる。

(立入検査等)

第22条 市長は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、市の職員に、事業者の事務所、事業所若しくは事業区域に立ち入り、必要な調査をさせ、又は関係者に質問させることができる。

2 前項の規定による立入調査を行う市の職員は、その身分を証明する書類を携帯し、関係者からの請求があったときは、これを提示しなければならない。

(助言、指導及び勧告)

第23条 市長は、必要があると認めるときは、事業者に対して、必要な措置を講ずるよう助言又は指導を行うことができる。

2 市長は、事業者が前項の助言又は指導に正当な理由なく従わなかったときは、事業者に対し、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(公表)

第24条 市長は、前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由なく勧告に従わない場合は、当該事業者の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)並びに当該勧告の内容を公表することができる。

2 市長は、前項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ事業者に対し、その理由を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。

3 市長は、第1項の規定による公表をした場合は、その事実及び内容を国の機関等に報告するものとする。

(委任)

第25条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(罰則)

第26条 正当な事由なく、次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の過料に処する。

(1) 第13条第1項の規定に違反して、届出をせず、又は市長の同意を得ず、若しくは虚偽の届出をし、発電設備を設置した者

(2) 第16条第1項の規定に違反して、届出をせず、又は市長の同意を得ず、若しくは虚偽の届出をし、発電設備を設置した者

(3) 第23条第2項の勧告に従わない者

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者のほか、その法人又は人に対して前項に規定する過料を科する。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の規定は、この条例の施行の日以後に第13条第1項の規定による届出をした事業について適用する。

3 前項の規定にかかわらず、第18条から第24条まで及び第26条(第1項第1号を除く。)の規定は、全ての事業者に適用する。

4 この条例の施行の際、現に設置している発電設備の増設又は更新する事業についても、附則第2項の規定にかかわらず、この条例の規定を適用する。

北斗市再生可能エネルギー発電事業と自然環境及び景観等との調和に関する条例

令和6年12月11日 条例第29号

(令和6年12月11日施行)