「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(「建設リサイクル法」)では、建築物の「解体工事」のほか「新築・修繕工事」や「土木工事」などの一定規模以上の工事について、「事前の届出(発注者の責務)」、「資材の分別・再資源化(請負者の責務)」などが義務づけられています。
また、建設業の許可が不要な規模の工事を行う場合においても、「解体工事業の登録」が必要な場合もあります。
1. 対象工事の確認
実施予定の建設工事が「(1)工事規模」以上であり、かつ「(2)特定建設資材」を使う場合が対象建設工事となります。
(1) 工事の規模(施行令第2条)
工事の種類 | 規模の基準 | |
---|---|---|
建築物 | 建築物の解体 | 床面積の合計:80平方メートル |
建築物の新築・増築 | 床面積の合計:500平方メートル | |
建築物の修繕・模様替え(リフォーム) | 請負代金の額:1億円 | |
建築物以外 | 建築物以外のものの解体・新築等(土木工事等) | 請負代金の額:500万円 |
(2) 特定建設資材(施行令第1条)
次の建設資材(特定建設資材)が用いられている建築物等の解体工事、特定建設資材を使用する建築物等の新築工事等(修繕工事など含む)であること。
特定建設資材とは
- コンクリート
- コンクリート及び鉄から成る建設資材
- 木材
- アスファルト・コンクリート
※上記資材の使用量・発生量の多少は関係がありません。(少量でも対象となります)
※対象となる「特定建設資材の種類」は、施行令第1条で定められています。
工事請負者の資格
建設リサイクル法の対象工事を行う請負者は、「建設業の許可」のほか「解体業の登録」が必要な場合があります。
2. 発注者への説明
対象となる建設工事等の請負者等(直接当該工事を請け負う建設業者等)は、発注者に対して対象建設工事の概要や工事計画について、書面で説明する必要があります。(法第12条第1項)
※建設工事の請負者の方は、発注者が本法詳細を承知していないことがありますので、契約前に対象建設工事の確認を必ず行い、対象建設工事となる場合は、発注者への説明及び必要な手続きを行うようにしてください。
(1)書面で説明する内容(法第10条第1項第1~5号)
- (解体工事の場合)解体する建築物等の構造
- (新築工事等の場合)使用する特定建設資材の種類
- 工事着手の時期及び工程の概要
- 分別解体等の計画
- (解体工事の場合)解体する建築物等に用いられた建設資材の量の見込み
また、対象建設工事の一部(又は全部)を他の建設業者等に請け負わせる場合、請負者等は他の請負業者等に「4.届出書」の内容を告げる必要があります。(口頭可)(法第12条第2項)
3.書面の交付
対象となる建設工事等の請負契約において、発注者と請負業者は、「分別解体の方法・費用」などを書面に記載し、署名(記名)・押印して相互に交付する必要があります。
※下請契約においても、「元請者」「下請者」で同様の手続きが必要です。(法第13条)
(1) 書面で交付する内容(省令第4条)
- 分別解体等の方法
- 解体工事に要する費用
- 再資源化等をするための施設の名称及び所在地
- 再資源化に要する費用
4. 届出の提出
対象建設工事等の発注者(自主施工者を含む)は、工事の着工の7日前までに建設地の市町村を経由して、北海道知事等に届出なければなりません。(法第10条)
届出提出から7日間は、工事着手ができません。なお、委任状を添付し、代理者又は代行者が提出することもできます。
10/1 | 10/2 | 10/3 | 10/4 | 10/5 | 10/6 | 10/7 | 10/8 | 10/9 |
8日前 | 7日前 | 6日前 | 5日前 | 4日前 | 3日前 | 2日前 | 1日前 | 当日 |
10/2が提出期限となります
(1) 届出書類
工事の種類 | 規模の基準 | |
---|---|---|
建築物 | 建築物の解体 | 届出書(様式第1号)+別表1 設計図又は現状の分かる写真 工程表 現地案内図 |
建築物の新築・増築 | 届出書(様式第1号)+別表2 設計図又は現状の分かる写真(新築除く) 工程表 現地案内図 | |
建築物の修繕・模様替え(リフォーム) | 届出書(様式第1号)+別表2 設計図又は現状の分かる写真 工程表 現地案内図 | |
建築物 以外 | 建築物以外のものの解体・新築等(土木工事等) | 届出書(様式第1号)+別表3 設計図又は現状の分かる写真(新築除く) 工程表 現地案内図 |
(2) 提出先
工事場所が北斗市内の場合は北斗市役所建設部都市住宅課です。
※窓口に提出する日が、工事着手の7日前までとなるよう注意してください。
※工事場所(区域)が複数の市町村にまたがる場合は、それぞれの市町村に届出(内容は同じ)を提出してください。
なお、「届出書の宛名」は下表のとおりとなります。
工事場所 | 工事規模 | 届出書の宛名 |
---|---|---|
限定特定行政庁内 (北斗市内) |
建築基準法第6条1項第4号に該当する建築物の解体・新築等 | 限定特定行政庁の長 (北斗市長) |
1.上記以外の建築物の解体・新築等 2.建築物以外のものの解体・新築等(土木工事等) |
北海道知事 |
5. 分別解体等の実施
(1) 対象建設工事の請負者(自主施工者を含む)は、現地において「建設資材ごとに分別解体等」を行わなくてはなりません。(法第9条)
(2) 「建築物」の解体工事は、次の手順で分別解体を行います。(施行規則第2条第3項)また、分別解体の方法は「手作業」「手作業及び機械作業併用」によるものとします。
- 手順1 建築設備、内装材その他の建築物の部分の取り外し
- 手順2 屋根ふき材の取り外し
- 手順3 外装材並びに構造耐力上主要な部分(基礎及び基礎杭を除く)の取り壊し
- 手順4 基礎及び基礎杭の取り壊し
上記「手順1・2」は、原則「手作業によるもの」とします。
しかし、「安全上」「施工の技術上」これにより難い場合は、手作業・機械作業併用でも構いません。
(3)「建築物以外」の解体工事は、次の手順で分別解体を行います。(施行規則第2条第4項)
- 手順1 さく、照明設備、標識その他の工作物に附属するものの取り外し
- 手順2 工作物のうち基礎以外の部分の取り壊し
- 手順3 基礎及び基礎杭の取り壊し
6. 再資源化等の実施
対象建設工事の請負者は、廃棄物となる特定建設資材の「再資源化等」を行わなくてはなりません。(法第16条)
なお、建設リサイクル法対象建設工事を請負工事によらず自主施工で実施する場合、排出される廃棄物が一般廃棄物となるため特定建設資材の「再資源化等」の義務は発生しません。
再資源化等とは、次のいずれかによる行為です。
再資源化 | 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物の運搬又は処分(再生することを含む)に該当するもの。 1.資材又は原材料として利用すること(建設資材廃棄物をそのまま用いるものを除く)ができる状態にすること。 2.燃料の用に供することができるもの又は可能性のあるものについて、熱を得ることに利用することができる状態にすること。 |
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縮減※(木材のみ対象) | 焼却・脱水・圧縮その他の方法により、体積を小さくすること。 |
※建設リサイクル法では、特定建設資材廃棄物は「再資源化」をしなければなりません。
しかし、木材のみは、次のような状況において「再資源化」に代わり「縮減」をします。
- 再資源化施設が、工事場所から50km(直線距離)以内に無い場合
- 再資源化施設の稼働状況等により、受け入れが出来ない場合
7. 書面による報告
対象建設工事の請負者は、「再資源化等」が完了したときは・発注者に対し、書面で報告しなければなりません。
また、請負者は「再資源化等の実施状況」を記録し・保管しなければなりません。(法第18条第1項)
8. 建設リサイクル法罰則一覧
罰則の対象 | 根拠条文 | 罰則(~以下) | |
---|---|---|---|
分別解体等の実施 |
対象建設工事の届出 | 法第10条第1項 | 20万円 |
対象建設工事の変更の届出 | 法第10条第2項 | 20万円 | |
対象建設工事の届出等に係る変更命令 | 法第10条第3項 | 30万円 | |
分別解体など実施義務の実施命令 | 法第15条 | 50万円 | |
再資源化の実施 | 発注者への報告の記録 | 法第18条第1項 | 10万円 |
再資源化等義務の実施命令実施 | 法第20条 | 50万円 | |
解体工事業 | 登録 | 法第21条第1項 | 懲役1年、50万円 |
登録変更 | 法第21条第2項 | 懲役1年、50万円 | |
変更の届出 | 法第25条第1項 | 30万円 | |
廃業等の届出 | 法第27条第1項 | 10万円 | |
登録の取り消し等の場合における通知 | 法第29条第1項後段 | 20万円 | |
技術管理者の設置 | 法第31条 | 20万円 | |
標識の掲示 | 法第33条 | 10万円 | |
帳簿 | 法第34条 | 10万円 | |
事業停止命令 | 法第35条第1項 | 懲役1年、50万円 | |
報告徴収 | 法第37条第1項 | 20万円 | |
立入検査 | 法第37条第1項 | 20万円 | |
雑則 | 報告徴収 | 法第42条 | 20万円 |
立入検査 | 法第43条第1項 | 20万円 |